論評としては真摯さに欠ける!美しい国への書評

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美しい国へ (文春新書)

論評としては真摯さに欠ける

 自分の考え方に対して反対となる事例を参照し、それを否定することで相対的に自分の考えの正しさを主張している感が否めない。加えて、対比される事例が正しい事実に基づいているのかも疑わしい。例えば、エジプトのピラミッドが強制労働で作られた、という趣旨のことにふれている部分がある。しかし、ピラミッド建設は公共事業だったという学説もあり、未だ評価が定まっていない事柄を比較対照にするのは問題があると思う。

政策議論としては正確さに欠ける

 また、年金問題の部分にも不思議な記述がある。国賠訴訟について本書の前半で、マスコミは国が敗訴したと喜ぶがその支払は税金でまかなわれる、という意味のことが書かれている。それにもかかわらず、年金は半分が税金で負担されるローリスクハイリターンの商品だ、ということを主張している。その半分を負担しているのも国民なのに。そもそも、ローリスクハイリターンの金融商品などというものはない。

政治家は思想家である必要はない

 靖国問題では、A級戦犯は内国法では犯罪者ではなく講和条約にはA級戦犯を祀ってはいけないとは書かれていないのだから問題ない、と主張しているが、ルールがないからやっても良い、という考え方は、散々批判していた、グレーゾーンで商売をしている人たちと同じなのではないだろうか。
 良くも悪くも著者の思想が出ている本であると思う。むやみに戦いを仕掛けるのではなく、みんなが納得できる戦いをして欲しい。

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