グーグルがどのように成長し、どのように競合企業と戦っているのか

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グーグル ネット覇者の真実 追われる立場から追う立場へ

グーグルが定義する世界

~ある検索エンジンの半生~
 この章では当時、スタンフォード大学の院生だった創業者の二人が、論文のテーマとして始めたページランクのPJTを、何故、ベンチャー企業として出発するに至ったのか、そして、同じようなアイディアをもった競合が何故、グーグルになり得なかったか、また後半では、スタートアップの彼らが草創期の頭脳集団をいかに集めて、どのように検索エンジンの精度を高めていったかについて書かれています。

グーグル経済学

~莫大な収益を生み出す「方程式」とは~
 この章では、KPCBとセコイアから計25百万ドル出資を受けた後、収益モデルを築けずに資金をすり減らしながら、外部からCEOをしぶしぶ受け入れた過程、その後、アドワーズの広告システムに2番札入札方式や品質基準の導入、CPMからCPCへの転換等により黒字化するまでの道程が書かれ、後半部分ではアドセンスの誕生からアナリティクスの導入、そしてアドワーズプレミアムからの撤退を通して「広告」に携わるエンジニアが「検索」と同等に社内で評価されるようになっていく様が描かれています。

邪悪になるな

~グーグルはどのように企業文化を築いたのか~
 この章では、グーグルの価値観を示しながら、彼らが具体的に現実的な経営課題にどのように対処していったかに触れています。例としては、IPOでのオークション形式採用、OKR(objectives and key results)という業績管理指標の導入と全社員への公開、人員リソースの配分方針(検索&広告:アプリ:その他=70:20:10)等が挙げれています。

グーグルのクラウドビジネス

~全世界に存在するあらゆる文書を保存する~
 この章では、冒頭でグーグルがクラウドサービスの原点となるGmailを始めるまでの過程、そして競合のマイクロソフトの反応やプライバシー問題の勃発に触れた後、自前の大規模データセンターを構築していく様子をありありと描いています。具体的には、彼らが何故レイテンシーにこだわり、いかに低コストで大規模なデータセンターをマイクロソフトに知られないように隠密に建設していったか等です。

未知の世界への挑戦

~グーグルフォンとグーグルTV~
 この章では、前半部分でアンドロイドの買収と携帯事業への参入、後半部分ではグーグルビデオの失敗とYouTube買収の経緯が描かれています。携帯事業に関しては、アンドロイドOSの躍進よりも、むしろアップルとの蜜月終了、スカイプ買収検討、ネクサス発売、周波数オークション参加等についての話が中心です。YouTubeに関してはリーマンショックによる全社的なコスト削減計画に触れながら、規模拡大と赤字減少に取り組む様が描かれています。
 

谷歌

~中国でぶつかった道徳上のジレンマ~
 この章では、中国参入にあたりグーグルが道徳上のB/Sを作成して参入を決意するまで、MS副社長の李氏をトップに据え、シェアを拡大していく様子、独自の検閲に対して米国議会からのプレッシャー、文化の違いによる本社と現地オフィスとの摩擦、ハッキングを契機とした検索事業の中国撤退という一連の流れが描かれています。

グーグルの政治学

 ~グーグルにとっていいことは、人々にとっていいことか~
 この章は、オバマ氏当選に関連したグーグルと政治活動との関わり、ダブルクリック買収によるディスプレイ広告への本格参入、そしてストリートビューの提供、さらにグーグルブックサーチについて描かれています。特に中段以降は、反トラスト法や著作権法等との関連での訴訟が中心に記載されています

エピローグ

 ~追われる立場から追う立場へ~
 この章では、グーグルが早い段階で、「SNS「オーカット」やtwitterの類似サービス「ドッジボール」を有しながら、その価値観の違いからソーシャルメディアを重要視しなかったため、facebook、twitter、foursquareの独走を許してしまったこと、従来とは異なり、ユーザーではなく自社の利益を守るために競合サービスに対抗しようとしている可能性があることなどが指摘されています。

感想

 私はネット広告業界については詳しくありませんが、それでも世の中で最も注目されている企業のひとつであるグーグルに、どのような人達が集まり、どのような価値観に基づき行動しているのかが良く分かり、大変楽しめました。
 特に印象に残ったのは、ダブルクリックの買収によりサーチアドとディスプレイアドの両方を手に入れ、最強のクッキーを手にして、もはや無敵と思われたグーグルが、そのアルゴリズム至上主義の価値観から、ユーザー本位のSNSを軽視してfacebookの独走を許してしまったという皮肉な点でしょうか。

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