民事訴訟法講義案の書評・概要

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民事訴訟法講義案

1、概説・書評
中級以上~、論題向けの教本。
主要学説の視点についてバランスの良いものであり、優れた論者にありがちな持論視点の強調型ではない点で、汎用性があると思う。すべてチェックしたわけではないが、誤植はない。

私見では、短答式あるいは司法試験以外の試験での問題(司法書士など)では、本書の内容だと若干カバーしきれない部分もあるので、その場合にはまた別の教本などと併せて使うほうがよい。

たとえば、控訴提起できる期間の起算は判決の言渡しからではなく、判決の送達を受けてからであるが、こういったことは見れば誰でも理解できるわけであり、書かれていない。手続の細かい部分などで割りと短答試験のひっかけ問題などで出しやすいものをカバーしていない部分がある。

2、各カテゴリの構成
各章の中で各節での意義、主要論点、事例解説などを記載

  • ---記載例----
第11章 上訴・再審

第5節 不利益変更禁止の原則

1 不利益変更禁止の原則
意義の説明

2 不利益変更禁止の原則と境界確定訴訟

「境界確定訴訟の法的性質を形式的形成訴訟説と解する通説によれば、境界確定訴訟においては、不利益変更禁止の原則は働かず、裁判所は、上訴者に不利益に、上訴しない者に有利の原判決を変更することもできる。」

→事例とその解説(論点解説、判例要旨も、学説含む)

  • -------------

3、全体構成 ※()内はまとめ者の補足説明
・はじめに
・民事訴訟法のアウトライン
・訴訟の主体(裁判所、当事者、代理人)
・訴訟の客体(主に訴訟物の話)
・訴訟の開始(訴訟要件、訴えの利益、訴訟係属)
・口頭弁論とその準備(口頭弁論の主義・原則、手続の概略)
・証拠
・訴訟の終了事由(その1)(判決以外の終了事由)
・訴訟の終了事由(その2)(判決)
・訴訟物の複数
・多数当事者訴訟
・上訴・再審
・略式訴訟手続

特に訴訟物の複数~上訴の部分についての論点などは複雑であるが、解説は実際の事例を挙げながら詳しく書かれていてバランスのよいものになっている。

これ以上難しくすると研究者向けの書籍になってしまうので、そのような本は学生・ロー生にはあまりおすすめしない(個々の学者の論点が強調される傾向にあるため)。

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