生物学って面白い! 資格情報で性転換する魚たち

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性転換する魚たち―サンゴ礁の海から (岩波新書)

性転換:1番大きな個体がオスに変わる

実験1
メスの単独飼育→不変
実験2
大オスと小メスの同居→不変
実験3
大メスと小オスの同居→大メスが性転換(小オスは不変)
実験4
メス二匹の同居→大メスが性転換
実験5
メス二匹を網で仕切って同居→大メスが性転換
実験6
メス二匹を透明ガラスで仕切って同居→大メスが性転換
実験7
メス二匹を不透明な仕切りで同居→不変

視覚的情報によって性転換を開始するかしないかを決めている。

なぜ性は二つだけになったのか。大配偶子を作ると栄養たっぷりだから、子の生存率は高くなる。一方、小配偶子をたくさん作っておけば、大配偶子と出会う確率が上がり、その栄養分に寄生して自分の遺伝子を受け継いだ子の生存が期待できる。もし中配偶子を作ったとしたら、栄養分の点でも数の点でも中途半端だから、繁殖戦略としては淘汰されてしまうのである

脊椎動物の中で性転換することが知られているのは魚類と両生類の一部だけである。陸上で繁殖する哺乳類や鳥類・爬虫類では知られていない。

性転換には二つのタイプがある。まず卵巣を成熟させてメスとして繁殖し、のちに性転換して精巣を成熟させオスとして繁殖する「雌性先熟」と、その逆の「雄性先熟」である。性転換魚類のなかでは雌性先熟のほうが圧倒的に多い。

小さいとき(若いとき)にはオスよりもメスのほうが繁殖に成功し、大きくなる(年をとる)とオスのほうが繁殖に成功するなら、メスからオスへ性転換する個体が一生の聞にもっとも多くの子孫を残せることになる。つまり、適応度が最大になる。

魚類は水中で体外受精ができるのに対して、陸上にすむ哺乳類は空気中に精子を放り出すわけにはいかず、交尾によって精子をメスの体内に送り込まねばならない(体内受精)。そうすると、交尾器(生殖器官)の構造がオスとメスで大きく違ってくる。この体構造の性差が大きくなればなるほど、性転換するための時間とエネルギーのコストも大きくなる。したがって、利益よりもコストのほうが大きいと、性転換しないほうがよいという結論になるのである。ちなみに、水中にすんでいる魚類でも、交尾器の性差が著しいサメやエイなどでは性転換は進化していない。

サンゴ礁生息最北端の白浜

和歌山県の白浜は黒潮暖流を受ける位置にあるので、造礁サンゴ(サンゴ礁を形成するイシサンゴ類)もある程度の種類は生息しているし、サンゴ礁の魚も一部すみついている。

接合

大腸菌を観察していると、二分裂して増えていくだけでなく、二匹がくっついてしばらく離れないことがある。これは接合とよばれる現象で、有性生殖とみなすことができる。しばらくするとまた二匹は別れ、数は増えない。つまり、生殖イコール増殖ではないのである。では接合の際に何が起こっているのか。なんのためにくっつくのか。実は、遺伝子の一部が移動している。大きな環状染色体のほかに、その100分の1ほどの小さな環状染色体(プラスミド)をもつ個体がいる。それをオス役とよぶとしよう。接合中にオス役のプラスミドが細胞膜の隙聞を通り抜けで、相手(メス役)に渡される。
卵は栄養分(卵黄)をたっぷり含んだ大配偶子、精子は遺伝子を運ぶだけで栄養分を切り詰めた小配偶子。オスとは小配偶子をたくさん作る性、メスとは大配偶子を少しだけ作る性、と定義することができる。これが雌雄の繁殖戦略の違いをもたらす根本原因である。

人間などの受精の場合は、精子が卵に到達すると、精子の細胞中のDNA(染色体)がすべて卵細胞のほうへ移動してしまう。二個体の遺伝子が合体して受精卵ができ、それが細胞分裂して多細胞の体を作っていく。バクテリアの接合の場合は、遺伝子全部ではなくて一部だけではあるが、やはり二個体の遺伝子が混ぜ合わされるという点で受精と共通している。接合のあと別れた二匹は、もとと同じ遺伝子をもった個体ではないのである。オス役をしたほうは遺伝子の一部を失い、メス役のほうはそれをもらっている。

データ

偶然の産物の突然変異こそが、生物の進化の第一歩。エイズウイルスやインフルエンザウイルスなど、ウイルスも無性的に増殖するが、人間がさまざまな薬を開発しても、薬の効かないタイプがすぐに出現する。これは突然変異の結果である。ウイルスにしてみれば、薬に耐えて生き残れるというすばらしい性質に進化したことになる。つまり、突然変異で新しい性質をもったものが生まれ、それがその生息環境により適していればその子孫が増えていく。これが生物に進化をもたらす「自然選択」のしくみである。

極端な一夫多妻が実現している種ほど、このような雄間競争がきびしく、雌雄の体格差が大きくなる傾向がある。

感想

性転換する生物がいるということにびっくりした。性とは固定ではなく変化するものだ。また、白浜は以前生物学研究で行ったことがあり懐かしかった。生物好きにおすすめ!

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