父が子に語る日本史の書評・概要

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父が子に語る日本史

本書の概要

 頼山陽「日本外史」が日本人の歴史認識のベースになったという考え方をベースとして、父が娘に日本の歴史のエッセンスを語るという形式で書かれている。
 一部、歯に物が挟まったような言い方をしている所が微妙だけれど、一つの考え方としては面白いと思う。続編として「父が子に語る近現代史」がある。

本書の構成

 頼山陽「日本外史」を近代以降の歴史認識の典型例として、そこに至るまでに天皇が日本の歴史にどのような影響を与えてきたのかという問いを設定し、その回答を形成するであろう歴史の断片をつづっている。
 古事記、日本書紀にある神話の時代から室町時代後期くらいまでが対象となっており、特に平安初期から鎌倉時代くらいのエピソードが多い気がする。中学を卒業する娘に語る、という形式を取っているためか、口語調の記述になっている。

知るのではなく考える

 著者が中国思想史の専門家であるためもあるとは思うが、日本の歴史にいかに中国・朝鮮が影響を与えてきたのかという点と、現在の歴史教育で行われているという日本国内に閉じた日本史認識がどれだけ狭い考え方かを主に説いていると思う。
 娘に語るという形式のためもあろうが、安易に結論を与えることなく、考える材料を与えるような書き方をしているのが特徴だろう。ただこれには、あまりにもナイーブなテーマであるため、著者の仮説を書きにくいという理由もあるのかもしれない。

中国の影響

 頼山陽流の仁義道徳史観の背景にあるもの、神話の背景にある歴史観が持つ日本優位の願望、日本の文化的発展に及ぼした中国・挑戦の影響をそれぞれ語り、それらが武家社会を経ることでどの様に絡み合い近代に至るかをひも解く。日本史の授業では語られない、当時の人々が信じていた世界観を知らせる。

総括

 そんな試みとしては大変意義のあるものだと感じたが、著者がどの様な仮説を持っているのかも明らかにしていただいても良かったと思う。特に、ボクが読み落としただけなのかも知れないが、なぜ白雉改元について知っておいた方が良いのか、その理由については書いておいて欲しかった。
(読後にちょろっと調べた範囲での推測はあるのだけれど。)

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