ネット上のサービスやツールを「建築」と「構造」に見立てて有名サービスを分析すると?

2694views小鳥小鳥

このエントリーをはてなブックマークに追加
アーキテクチャの生態系――情報環境はいかに設計されてきたか

0.注意

見出しはまとめ作者によるものです。

1.アーキテクチャ

アーキテクチャとは「建築」「構造」。
ネット上のサービスやツールを「建築」とみなす、あるいはその設計の「構造」に着目する。

アーキテクチャは人の行動や社会秩序を規制する為の手段。
①法律と異なり、規制される側に内面化を要求しない。技術的、物理的に規制する。
②規制される側がその規制の存在に気付かず、密かにコントロールされる。

2-1.グーグル(欧米)

ページ「内容」とは直接関係の無い、「ページランク」制度。どれだけリンクを獲得したかで評価。

ユーザーがサービスを利用する事で、副次的にデータを収集し、価値が増していく「参加のアーキテクチャ」。

2-2.ブログ(欧米)

「グーグルに検索されやすいウェブサイト」を目指したアーキテクチャ。

①パーマリンク…ブログの記事単位でURLを発行し、ウェブの情報を細かく切り分け、情報のありかを指差す「リンク」の効能を高める。
②自動SEO対策…HTMLの規則を、ユーザーが学ばずとも実装出来る。

2-3.2ちゃんねる(日本)

「常連」を優遇する制度は、中長期的にはコミュニティを衰退させる。「常連」を排除させる為の「匿名」制。

アイロニズムの文化…テレビ的な、観客の笑い声ではなく、出演者やスタッフの内輪的な笑いのポイントを視聴者も共有する作法。2ちゃんねらーもこうして「内輪」を作り出す事で、「繋がりの社会性」を効率的に維持している

「繋がりの社会性」…若者間で一日に何十通と交わされるメール。<内容>の次元ではなく、「コミュニケーションが成立している」という<事実>の次元が主目的。

2-4.ミクシィ(日本)

2000年頃までのネットのアングラ感からの「逃走」のアーキテクチャ。

「足跡」は「あなたの日記を読んだ」という<事実>を伝えるだけのアーキテクチャ。非匿名制のミクシィでさえ2ちゃんねると同様の「繋がりの社会性」。

2-5.ウィニー(日本)

「キャッシュ」機能を用いて、ファイル共有ソフトの違法性(日本ではアップロードが違法)をユーザーに意識させない。
WinMX時代の参入障壁(アップしないとダウロード出来ないが、初心者はアップするファイルを持たない)の問題を解決。

自分は侵害行為に加担したくないが欲望は達成したい、という考え方は、匿名の隠れ蓑をかぶりながら対象をこき下ろす「2ちゃんねる的精神」を反映。

2-6.ツイッター(欧米)

実態は非同期型(ユーザーがバラバラに「独り言」を読み書く)のツイッターだが、同期的に振る舞っているように感じさせる。

同期型コミュニケーションの問題点である
①会話中の沈黙
②「相手に迷惑を掛けるかもしれない」という不安やストレス
が生じない。

2-7.ニコニコ動画(日本)

主目的は「動画の視聴」ではなく「体験の共有」。

ニコニコ動画は、実際には「非同期的」になされるコメントを、アーキテクチャ的に「同期」させる事で「視聴体験の共有」を疑似的に実現する「擬似同期」のサービス。

2ちゃんねるは「dat落ち」によって<後の祭り>(閑散)状態に陥る。これを補完する形で登場する「まとめサイト」の機能を、ニコニコ動画はアーキテクチャ内に備えている。

2-8.初音ミク(日本)

ユーチュブは「元ネタ→派生作品」という一次ホップ(一つの元ネタに、大量の派生作品がぶら下がる)に留まっていた。
初音ミク現象では、「元ネタ→派生作品(元ネタ)→派生作品→…」という形で、N次ホップの連鎖が生まれる。「二次創作」と言うより「N次創作」。

ニコ動上では、人々はもやは個々人のばらばらの<主観的>評価をしていない、ほぼ<客観的>と呼べる明確な評価基準を共有しているのでは。

2-9.ケータイ小説(日本)

「はちゃめちゃな文章」と嘲笑されるケータイ小説だが、「着信が非通知かどうか」「返信がソッコーかどうか」という、「ケータイ」よって成立する「行間」的表現が散見される。

ケータイ小説は、「レイプ」「中絶」といった「ストーリー」の水準とはまた別に、ケータイ利用の「リテラシー」の水準で「リアル」を担保している。

3.日本のアーキテクチャを捉える

日本に生まれたソーシャルウェアは、ネットの「自由」「理念」を信奉する人々にとっては受け入れ難かった。日本という場所には「反理想的」と言えるようなアーキテクチャが自然発生してしまう。

ソーシャルウェアの進化プロセスは、前世代や別環境のソーシャルウェアにおいて、「規範」「慣習」レベルで実現されていた振る舞いが、「アーキテクチャ」による規制に置き換えられていく過程。

「技術が社会を変える」。「社会が技術のあり方を決める」。社会と連動して、アーキテクチャは「共進化」する。

関連まとめ

本のまとめカテゴリー


コメントを書く