体制維新――大阪都の書評・感想

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体制維新――大阪都 (文春新書)

「良いことも悪いことも大阪から始まる」

日本の問題は政治の問題でも人の問題でもなく仕組みの問題。
大阪から新しい地方の仕組みを作る。その先に日本も。

第1章 大阪の衰退、日本の衰退(堺屋太一)
第2章 なぜ「大阪都」が必要かー対談1(橋下徹×堺屋太一)
第3章 改革と権力闘争ー都構想1(橋下徹)
第4章 「独裁」マネジメントの実相ー都構想2(橋下徹)
第5章 「鉄のトライアングル」を打ち破れー都構想3(橋下徹)
第6章 大阪から日本を変えようー対談2(橋下徹×堺屋太一)

大阪の抱えている問題は日本の衰退の縮図でもある。

今までの大阪は財政問題を抱えてきた中、主に実行してきた取り組みはゴミの仕分けなどローカルな問題ばかり。
内向きの問題ばかり目を向けてきた大阪から世界から見た大阪に変えようとしている。
今の大阪を変えるには、人事を変えるだけではダメ。
企業はまず売り上げが悪いと人事を変える。
そしてそれでも問題が解決しない場合はリストラをする。
それでも解決しない場合には仕組み(システム)そのものを変える必要がある。
時代は変わったのに古い仕組みのまま運用されている。
古いOSの上では最新のソフトウェアは動かない。
明治時代からマイナーアップデートでやってきた古い統治機構を作り変える。
それは国も一緒で、総理大臣は内政ばかりやらなきゃいけないので、世界に出て行けない。
世界でのプレゼンスは下がるばかり。
役割分担の明確化をしなければ無駄な血税が消えていく。
大阪では公務員の働き方や給与問題、二重行政での税金の無駄、ずっとくすぶりながら手が付けられなかった。
今は大阪府と大阪市で互いに決定権を持っていて何も決まらない。
統合して決定したことなどスムーズに行える行政にする。
インフラや大きなビジョン、方向性を示す役割は広域行政が行い、それ以外の細かい地域の住民サービスは細かい区に分けて基礎自治体が責任と権限を持って行う。
今の区長は市長の部下で一つの区に割り当てられる財源は2億円程度しかない。
そんな区長の名前なんて誰も知らない。
区長公選制にして投票で区長に権力と財源を持たすことでそれを可能にする。

政治家は政策ばかり夢物語のように語りたがる。システムを改善するのって有権者に説明しても分かりづらいからし地味だから誰もやりたがらない。
数と権力を集めないと何事も動かない。政策をどうマネジメントして実行していくかという視点が多くの政治家には足りない。
この二つは車輪の両輪である。

大阪府知事時代にはPDCAサイクルをきちん回すことで様々なことが実行出来た。

ただ就任当初は反発ばかり、しかし納得が行く決定を下すまで徹底的な議論をする。
相手は知識も豊富な人達ばかり。議論するには最低限の知識がいる。しかし最低限な知識だけでも膨大な量である。
徹底討論し最終的には必ず決断を下す。それが政治判断。

判断基準は、

1,基本的には論理的に正しい方が優先される。
2,お互いの説明が同じくらいの場合は、知事がどちらにするか決める。(政治判断)
3,論理的に分が悪いとしてもやむを得ない場合は政治判断する。

決断を下す時は、眠れず、死ぬほど悩む。しかし実行する。

そんな大変なことを続けるのだから長くは保たない。だから方向性に一定のメドがついたら引退する。

だから人ではなくシステムを変えるのだ。

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橋下さんはシステムエンジニアのようなやり方で大阪、日本を変えようとしている。
もちろん土台を変えようとしているのだから簡単なことではない。
ただ彼は人の力を信じているのだと思う。
橋下さんのやりかたを嫌ってるインテリ層は、「そんなことをしたらきっと無能でどうしようもない、国民達がもっと酷い目にあう。」と決めつけ愚民扱いしてるのではないだろうか。
それでいて自分達に当事者意識はない。
橋下さんのやり方を独裁と言う人の誤解はこの本を読めば解ける、役所連中は独裁だけではついてこない。
実際にテレビで話ているのを見ても分かるが相当な学習量であろう。
そうでなければあれ程の言葉が淀みなく出てくることはないはずだ。
学者連中が資料をペラペラめくって指摘する問題の数字なども何も見ずに自分の言葉で話す。
体系的に理解してないとあんなことはできない。
だから話しているのを聞いても分かりやすい。
橋下氏が議論に強い理由がアメリカが外交に強い理由に似てるなと思った。「アメリカは4年に1回戦争を行う。各州で戦争しあう。それは大統領選挙だ。」とは猪瀬直樹氏の言葉だが、百戦錬磨の橋下知事は鍛え抜かれたアスリートである。
アスリートは引退も早いのだがどうなるだろうか。
マネジメントと言う言葉が中盤何度も出てくるがそれこそが今の政治に一番足りないことだと思う。
役所の実態を掴むのとマネジメントの手法の本としても面白いと思うので、ぜひ読んでみて欲しいです。

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