考える事のコツとか面白さを教えてくれる良書!経営者・平清盛の失敗の内容まとめ

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経営者・平清盛の失敗 会計士が書いた歴史と経済の教科書

結論はものすごくシンプル。そこにたどり着くまでの過程がおもしろい。
文章量は少ないけれど、考える事のコツとか面白さを教えてくれる良書。

問の立て方、わかったつもりから抜けだして自分なりの答えを出す技術を学ぶ

歴史をミステリーと捉え、謎を解いていくというアプローチはよくある話なのですが
この作品は、そもそもどうやって謎を見つけていくか、というところから入っており、
それについて作者がどう考えを進めていったのか、という
プロセス全体を追っていけるのがおもしろいです。

・限られた情報を元にまず論理でつなぐ

・キモになる部分は間違いがないように、
 当時の現場をリアルに想像しながら細かく分解する
 (例えば貿易といっても、「誰が行なっていたのか」「4つのリスクは大丈夫か」)

・すると、論理的に考えて辻褄があわなかったり、空白の部分が見つかる

・情報の抜けや、着目していない要素がないか考えてみる

・新たな発見があったらそれで空白をつないだり、論理そのものを修正していく

(ifについても考えるとなお楽しい)

ある意味「なぜ5回」などとよく似ています。
理解出来ないことがあったら、その原因をどんどんさかのぼって見つけていく。
しかしまず問題があることに気づくために、つながりを細かく分解し、それを自分でつないでみるという思考法は、ある程度「あるべき姿」の知識を持った上で、自分でそれをいちから組み立てる訓練をしていないとなかなか上手くいかないと思います。
最初の問を立てる部分が私は一番苦手なので、ここを学べるのがおいしい。

急激な成功と急激な破滅は表裏一体

・貿易で巨万の富を得た、という通説のカラクリ
・日本の古代貨幣はどうして廃れてしまったのか?
・外国通貨の宋銭はなぜ当時の日本で普及した?
・清盛の死後わずか4年で平家が滅亡した理由は?
・平家を滅ぼしたのは源氏ではない・・・誰だ?

という5つの問を立ててこの時代の経済について考え、
「貨幣」というキーワードで話をつないでいきます。

貨幣によって急激に富を蓄え (貿易の仕組みを変える)
貨幣によって政策を決めていき(物々交換→銭本位制)
貨幣によって急激に衰える  (貨幣価値暴落のコントロール失敗)

貨幣ってすごい力があるけれど恐ろしいね、ということが説明されます。
プロセスがすごく面白いので是非読んでみてください。

余談1 売れっ子作家の思考術?

世界一わかりやすい会計の本ですなどの著者でもある山田真哉さんだけれど
この人の売りはただ分かりやすいというよりは、
「シンプルにする視点を提供する」というところが売りなのかな、と思いました。

わかりやすさと言うと先にまとめた「分かりやすい説明の技術」で取り上げましたが論理的につまる所がないように、キレイに情報を整列したり、文を整えるあたりのことだと思います。これは池上彰さんがすごいと思う。

山田真哉さんの本は必ずしもそういうわけではない。教科書を踏まえた上で一歩先へ進むことを教えてくれる先生のような印象。分かりやすいと言うよりはおもしろい。「わかりやすかった、ではなくてわかりやすくなった」という感じ。

余談2 経済や思想を通して歴史を学ぶのは面白い

おそらく2012年大河ドラマでは平清盛は武家社会における武力・権力争いがメインになるでしょう。しかしこの本では経済、特に「貨幣」に注目して語られます。

およそ歴史において、中世以降は政治の大きな変化は経済をきっかけにしていることが多いです。ところが日本の歴史教育ではあまり経済を中心にした説明がされることがありません。この時代の経済についても「平清盛は貿易で巨万の富を得た」という一文触れられるだけで、それ以上の説明がありません。

しかし実際は、どの時代でも大体は<武器のイノベーション・疫病・輸送手段の発達・経済のルール変化>がきっかけになっています。それ以外による体制の変化はあまり長続きしていない。このあたりは類書として

・センゴク外伝 桶狭間戦記
・お金から見た幕末維新――財政破綻と円の誕生
・武士の家計簿
・貨幣論
・十字軍物語

あたりがおもしろいです。

実際、この視点から観ていったほうが歴史っておもしろいと思う。
ただ、こういったことは、ある程度の計算とか論理的思考が必要で、となると生徒にも教師にもある程度の実力が求められます。それよりは、戦争とか権力争いといった事実の羅列にする方が教える側に負担が少ないのだと思う。でもそれってつまんないよね。

中学高校の時は歴史ってすごくつまらなかったけれど、思想とか経済の視点を通してちゃんとつながりを感じながら読むとすごく面白いです。今からあらためて学び直していきたいと思っています。

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