宮崎駿の傑作。シュナの旅の内容まとめ

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シュナの旅 (アニメージュ文庫 (B‐001))

宮崎駿の傑作

ベースになったと言われるチベット民話「犬になった王子」はこのような作品。

 穀物を持たない貧しい国民の生活を愁えたある国の王子が
 苦難の旅の末、竜王から麦の粒を盗み出し
 そのために魔法で犬の姿に変えられてしまいますが
 一人の娘の愛によって救われ ついに祖国に麦をもたらすという民話

プロメテウスみたいな感じですね。
私が今紹介し続けている風雲児たち、とも通じる所が多いと思ってます。

あれこれの理屈は抜きにして、テアという素晴らしいヒロインは必見かと。

旅立ち

いつのころかもはや定かではない
はるかな昔か あるいはずっと未来のことだったのか
氷河がえぐった旧い谷の底に 時から見捨てられた小さな王国があった

人はなぜこんな土地に住みついたのだろう
山から吹き降ろす風は うすい空気をさらにうすくし
陽の光も 谷をあたためてくれない
乾いた土をひっかいて ヒワビエの苗を植えても
やせた大地は わずかな実りすら出ししぶる
ヤックルはとぼしい草にいつも飢え なかなか子を産もうとしない……
それでも人々は ささやかな収穫に感謝して生き……
くち果てるまで働いて 死んでいく……

なんて悲しく貧しい人生だろう なんて美しく無慈悲な自然だろう

少年の名はシュナ 
やがてこの王国を父から受け継ぐべきものだった

見たことのない服装の異国の男は疲労と飢で死にかけていた

この谷を訪れる客はまれであった
まれ人は客人として丁重に扱うのが谷のならわしだった

谷いちばんのおばばのまじないと薬草でも 
もはや旅人の生命をつなぎとめることはできなかった

旅人はシュナを死の床にまねいた

  私はこの地のはるか東方にある小さな国の王子だ
  国は貧しく 民はいつも飢に苦しんでいた
  そなたのように若かったある日 私は一人の旅人と出会った

男は首にさげていた小さな袋をとり出しシュナに示した
袋にはシュナの見たことのない実が入っていた

  その旅人が私にくれたものだ
  この穀物さえあれば人民はけっして飢えず豊かに平和に暮らせると……

その実は大きく 重かった

シュナは言う
  

  わたしたちのヒワビエの実は小さく貧しい
  この種をもらえまいか

旅人は

  あげてもよい   が
  これを地に播いても無駄だ……
  この実はすでに殻をむかれて死んでいる
  生きている種は 金色の殻に包まれ 美しく輝いていると聞いた……
  わたしは人民の苦しみをのぞきたいと考え
  今日まで金色の種を求めて旅を続けてきたが
  もはや年老い……力も尽きた……
  西の彼方 大地果つるところに
  黄金の穀物が豊饒の波となって ゆれる土地があるという……

旅人はシュナの心に熱い思いを残して逝った
それ以来シュナはじっと西のほうを見つめていることが多くなった

父や長老は心を痛め シュナをさとした

  貧しくとも それがわれらに与えられ天命なら
  この地に抱かれて埋もれるのも人の道だ 

と…

しかし旅立つ時が来た若者を だれが押さえられよう……長老たちは深く嘆息した
女たちはいつもの狩りにしては 多すぎる弾丸の数を見て 
シュナの決意が固いのを知った

寝静まった新月の夜 シュナは掟を破って ヤックルに鞍をおいた

(第一部完)

その他

「人はかつて金色の種を持っていた。みずから収穫し、みずから種をまき、みずからを生かしたものだったが、いまは種は神人しか持っていない。人は人間を神人に売り、死んだ実をもらうようになった」

「武器を手放せばあなたもたちまち狩られてしまう それに私はあなたにも買われたくありません」

「売り買いによる自由でなく 剣にかけてあなたの誇りのために戦った あなたは自由だ」

・飲み込まれた人々が巨人に生まれ変わったのか それとも耕地をうるおす水に変えられてしまったのか シュナにはわからなかった

・小動物の群が巨人をおおって食べ始めたのだ やがて群が去ると そこにはひとかけらの骨すら残っていなかった

・グズグズしてはいられない ここでは時間の進み方が違うのだ

・今この時にも付きは天空をかけめぐり 人狩りは地を徘徊している(あくまで神人との闘いは終わらないのだ、という部分はインキュベーターとの共通点を感じる)

Amazonレビューから引用

http://p.tl/cwEd
人が人を犠牲にして生き延びるというあり方を拒否し、人間が自分自身の力で自然やほかの人々と関わりながら、よろめきながらも勇気と知恵をもって様々な課題や困難を乗り越えていくことが生きるということなんだよ、というテーマのエッセンスが描かれていると思う。
自分の原点を語った講演の中で宮崎さんは、「ぼくにとっての土台は、なんのために生きていこうとするのかわからないままさまよっている人たちに、元気でやっていけよ、というメッセージを送ることなのです」と語っている

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