尊号一件問題と松平定信の失脚。風雲児たち (11)の内容まとめ

1990viewsはにほーはにほー

このエントリーをはてなブックマークに追加
風雲児たち (11) (SPコミックス)

「これが革命です。名もない一人の夫人の信念が国の運命を変えてしまったのです。人間の力とはそういうものなのです。」(ルグロ夫人)http://www15.ocn.ne.jp/~aharen/rugro.html
「どの意見もみなそれぞれ一理あります。しかし私は意見を述べる人ではなく、行動する人を待っていたのですよ」(エカテリーナ女帝)
「この国には、俺が見てきたものを知っている人間がどこにもいない!」(光太夫)

ロシア使節の来航がメイン。日本は停滞中。

尊号一件問題と松平定信の失脚

・権大納言中山愛親や関白鷹司輔平から上皇尊号の申し出
・緑毛亀騒動
・徳川家斉から父一橋治済に大御所の格式を授ける旨検討

旧来の秩序・身分制度にこだわる松平定信はこれに反対し、
幕論を統一して京都の動きを押さえ、将軍の動きも牽制。

問題は解決したものの、この件で将軍家斉の不興をかい、
将軍の命で伊豆に飛ばされた挙句、
江戸に戻った後も窓際に追いやられ、自主退職を迫られ解任。

(どれほど実質的な権力を持っていても、形式上のトップに表立って反抗するといきなり権力を失うという日本独特の失脚の仕方。尊号事件の解決は、天皇ではなく大納言クラスの貴族2名が処罰された。松平定信の政治に対する市民の不満は、市民による妥当ではなく、将軍や天皇の命によって解決されてしまう。このように、実質と形式が分離しているため、形式上のトップを打倒し辛いというややこしい日本の政治構造は、物事を急激に変えたり、暴走した時にブレーキをかけることが非常に困難。)

ラックスマン来訪 友好条約を求める

根室→函館→松前へ。江戸港入りを拒否。

・国内の人間には強気な松平定信も外国船に対してはヘタレ。
・弱腰なくせに、形式だからと使節に土下座を強要するなど、対応が混乱。
・慣習を理由に使節団の文書すら受け取らず、
 鎖国の国法を書いた文書のみ押し付けて対談終了。
・交渉の結果、長崎入港許可証を得て、次回の交渉を計画することに。

→エカテリーナ女帝死亡後の混乱のため、しばらく空白期間。

高等数学が暦にしか使われない時代

数学はあらゆる学問の土台であり発展の母である。
日本の数学のレベルは同時代のヨーロッパに勝るとも劣らぬレベル。

・塵劫記(吉田光由)や関孝和、本多利明らにより数学の発展
・そろばんの存在により庶民にも算学が普及

にも関わらず、他の国であれば重宝されたであろう数学者たちは日本ではまるで評価さrず。唯一権力の維持に役立つ天文学にのみ用いられる。

大黒屋光太夫一行の帰国

・イルクーツク→ペテルブルク→皇帝離宮にて女帝に拝謁→日本へ向けて出発。
 アダム・ラックスマンとともに、日露交渉の使節の一員として帰国。

・帰国後将軍家斉と拝謁。その後は40年間幕府監視のもとで飼い殺し。
 ※ただし一時的に伊豆に帰省したらしいです

・「林子平の三国通覧図説は、この時ロシアに残った日本人によって翻訳され、さらにドイツ人学者から世界に広まっていくことになる」

最上徳内    :アイヌの乱以降の北海道治安調査

・田沼失脚による調査団引き上げの後の松前藩の過酷なアイヌ支配を是正。
・樺太地方の調査

林子平 「海国兵談」完成

書物取締令中の無断出版により捕縛→出版停止&版木没収処分→幽閉中に病没。

海国兵談は好戦論だけではない。彼が説いたのは国防論のみである。外国を攻めるほどの軍備を持てとは決して書いていない。危険の殆ど無いオランダ交易でさえ長崎にはちゃんと砲台が備えてあるのだから同じように北方にも、ゆくゆくは江戸湾や主要な港に砲台を置くべきだと述べたのみである。
実際、最低限の備えがあれば、ロシア戦や黒船が来航した際に馬鹿げたうろたえを示し、侮られて一方的に不利な交渉・不利な条約を押し付けられることなく対等に交渉できたやもしれない。しかし実際は海国兵談は全く受け入れられず、海の守りがなかったため、江戸は恐慌状態になり、その恐怖の反動が明治日本を際限なき軍備増強に駆り立てることになった(のやもしれない)

高山彦九郎   :「緑毛亀」運動、天皇に拝謁

「この時代、思想の自由などというものはない。倒幕の意思があればそれだけで死刑は免れない。しかし尊王思想は悪いとは言えない。ここに不毛な押し問答が発生する。」
しかし尊号一件事件の決着を経て幕府が朝廷に圧倒的優位になった情勢を受けて、逮捕、追放処分→友人宅にて自害。

その他

キリル・ラックスマン:使節のラックスマンの父。日本に向かう途中で病死。
石川将監、村上大学 :幕府役人。ラックスマン使節に対応
鈴木熊蔵      :松前藩士。ラックスマン使節に対応
ラジシチェフ    :ロシアの革命思想家
エカテリーナ女帝  :フランス革命、プガチョフの乱以降は反動政治
当時の蘭癖大名(中津藩奥平昌高、島津重豪など)

関連まとめ

本のまとめカテゴリー


コメントを書く