5人に1人は就職決まらず卒業しているのに内定率は90%?就職とは何か

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就職とは何か――〈まともな働き方〉の条件 (岩波新書)

5人に1人は就職決まらず卒業しているのに内定率は90%・・・だと・・・?

18歳人口は18年間で205万から122万に減少しているが大学入学社数は54万→62万。
大学進学率は26%から51%(短大含めると57%)に上昇。
「大卒生の就職率は62%」、院・留学進学が15% 、一時的な仕事4%、その他が2割。

2010年10月時点で
高校新卒者の正社員比率はわずかに6%前後。
20~24歳の非正社員比率は46.7%、女性44.2%(全体平均は34.8%)
正社員になれるのは半数だけ。

死に物狂いで就職しても3年以内に大卒者に3人に1人は離職する職場環境。
このうちやめさせ方が合法なのは自主退職者の内26%、整理過去の内4割だけ。
「甘えでやめる、どころか無理やりやめさせられているケースのほうが多い」

内定率9割といっても、
10月時点では57%→12月時点で69%→2月で77%→4月で91%。「2月以降の急上昇は卒業時点までに就活を断念する学生が多いことによる統計結果」にすぎない。

定期一括採用の問題 「早期化&長期化&厳選化」の三すくみ状態

常識的・公正なルールは、常に好景気の時にこそ破られる。早期採用は好景気時に「優秀な学生を早く手に入れるために」行われる。どの時点でも普通の学生の都合は顧みられない。常に企業の都合で紳士協定違反が起こり、62年に日経連はそれを野放しにする宣言を出した。その結果、オイルショック不況時に内定取り消しが続出したあと泥縄的に新しい協定を作成。81年にはなぜか労働省がこの問題から離脱。86年に協定を更新したが、またバブルの加熱で協定は公然と変えられ、破られるようになった。「あまりに意味が無いので97年に廃棄」された。その後の倫理憲章では早期採用の自粛を促すだけで企業の事故責任に任せられている。

定期一括採用はもともと一時期に学生が集中するため厳選採用の傾向を内在しており、不景気にその問題が顕在化しただけの話。

長期にわたって厳選するといっても「就活の開始時期があまりに早期化しているため、企業側も大学の専門科目で何を学んだか問いたくても問えない」(半数以上の学生が卒業前に就活を開始するのは日本だけ)ため、採用ノウハウの進展もなく上手くマッチングが行われていない。
学生が殺到する人気企業では機械的な足切りが行われる。マイクロソフト・ソニーなどの大企業は「履歴書読取ソフトで読み取りに失敗した時は自動でアウト」などネタとしか思えない効率化だけが進んでいる。

派遣の問題点

本来不可分の雇用と使用を分離し、間接雇用を容認するとどうなるか
・仲介業者のピンハネの合法化
・労働条件の決定が派遣元と派遣先の商取引に委ねられ、労働者本人が排除
・雇用者責任および使用者責任が曖昧になり、生活安全健康など管理責任の空洞化
・各種社会保険の適用から労働者を締め出す
・労働者が自分の意志によらず賃金のダンピングを受ける
・請負業者が指揮命令を行わない偽装請負が堂々と合法化されている
・労働者の団体交渉権の実質的制限 などなど
→雇用調整したいなら、なおさら企業が自分の責任で労働者と直接契約するべき。派遣会社に汚れ仕事をすべて任せて終身雇用を守っているような、綺麗な顔をすることが許されているのが最悪。汚いのは派遣会社側ではなく使用主側。

「主体的」な「奴隷」を求める企業の素敵な王様ぶり

企業が学生に求める上位の能力を翻訳すると・・・

コミュニケーション能力=空気読め、先輩に合わせろ
主体性    =言われなくてもサービス残業しろ
規律性    =リア充爆発しろ
状況把握力  =チームのみんなが残業してるのに帰るとか言わないよね?
ストレスコントロール力 =欝病は甘え
発信力    =お客にはいい顔をしろ。身内には発揮するな。

→10年間で過労自殺が9倍。過労死が3倍になったよ!やったね!

企業は「適応」「ソフト面」を重視しすぎる 「抵抗」と「ハード面」のバランスを

「適応する能力(個々の職業分野に即した知識・スキル)」と「抵抗する能力(労働に関する基本的な知識)」両方が必要。
文科省の教育ガイドラインも、企業が学生に求める能力一覧も、適応の能力しか考慮していない。抵抗する能力(理不尽なことにはNoを返すための武器)とセットで始めてまともな仕事ができるが、これは現状自力で身につけるしかない。

ソフト面は要するに社会常識のこと。ハード面の基礎知識・労働知識・専門知識がないと仕事ができない。厚労省が出している「知って役立つ労働法」はちゃんとチェックしましたか?

まともな働き方の4条件

・まともな労働時間
・まともな賃金
・まともな雇用
・まともな社会保障

生活保護は、本来あるべき中間的なセーフティネットが無いことが問題。生活保護者を叩くのではなく、そこまで落ちるのを防ぐ効率の良い社会保障を考慮すべき。

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