一般意志2.0を理解するための15のポイント!

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一般意志2.0 ルソー、フロイト、グーグル

まとめ作者注記

見出し括弧内はまとめ作者によるものです。書籍において、章題は「第*章」とのみ書かれています。

序文

本書は、情報技術が民主主義を実現すると主張する書物ではない。情報技術が民主主義そのものを変えると主張する書物である。

ルソーの「一般意志」を、情報社会の現代の視点から読み、新たな「一般意志」の定義に迫る。そして熟議も選挙もない「もうひとつの民主主義」の可能性を説く。

第一章(ルソーの思想)

ルソーの思想は、個人の自由を賞揚するものとされている。しかし一方で、個人の全体への絶対の服従を強調しているようにも見える。

この矛盾を解きほぐすキーワードが「集合知」である。

第二章(一般意志とは)

ルソーの社会契約は「自分の権利を共同体全体に完全譲渡する事」を意味している。その結果、個人の意志の集合体である共同体の意思、「一般意志」が生まれる。

一般意志は世論ではない。一般意志とは、全体を構成する特殊意思(個人の意思)から、相殺しあうプラスとマイナスを取り除いた差異の和である。これはベクトルの和のようなものであると考えられる。

第三章(ルソーの夢見た社会)

ルソーは、一般意志を導き出す為には、市民は意見交換をしない方がよいと主張する。

一般意志は差異の和である。差異は多ければ多い程よい。意見交換は差異を消失させ、一般意志出現の障壁となる。

第四章(従来の政治思想)

二〇世紀の思想家の「公共性」の規定を参照しても、どれも一般意志の理念とは合致しない。
一般意志の理念は、過去類を見ない政治の可能性である。

第五章(実装されつつあるルソーの夢)

グーグル等、現代の技術では無数の個々人の欲望が、討議を介さずして集積し、可視化される。このデータベースが一般意志である。

第六章(政府2.0)

フィルタリング技術の発達した現代では、個々人が自分の興味嗜好の枠を出ない「島宇宙化」問題が生じる。「情報量を縮減」する現代メディア的な技術を政治分野にも適応させ、人々を島宇宙から引きずり出す事で「公共性」が芽生える。

第七章(無意識の可視化装置)

ルソーは、「人は常に自分の幸福を望むが、必ずしも常に、何が幸福であるかが分かっている訳ではない」と主張する。共同体の真の欲望は、他者の目を通してしか見れない。

この真の欲望=無意識=一般意志を表出させる為に、インターネットの膨大な情報を記録可能な特徴が有効である。

第八章(熟議とデータベースの抗争)

政府2.0は、可視化された無意識に隷属するのではなく、そこにルソーが否定した「熟議」を組み込み、相克する事によって統治が洗練されるべきである。

第九章(政府2.0の設計)

一般意志を、説得すべき大衆の意志として捉えるのではなく、物理環境と同じような制約条件として捉え、この無意識を熟議の場に影響を与え得る形で政府2.0を設計する。

第十章(民主主義の未来の核心)

人間の「理性的行動」のコストを正しく見積もり、責任ある「大人の」政治参加への期待は棄て、かつての熟議の場で排除されていた「欲望」を利用しつつ制御する。

第十一章(無意識民主主義)

政治危機の本質は、社会が複雑になり、熟議への参加コストが跳ね上がった点にある。無意識の政治反映は、そのコストを劇的に引き下げる。

市民一人ひとりには何も期待せず、彼らの欲望をモノのように扱い、熟議や設計の抑止力として使うべきである。

第十二章(動物的生と人間的生)

従来のヨーロッパの「私的には動物、公的には人間」という社会思想から、民主主義2.0は、「私的動物的な行動の集積が公共を作り、公的で人間的な行動(熟議)は密室(私的領域)でしか成立しない」という逆転を起こしている。

第十三章(憐れみの感情)

過去の政治は人間の理性を信じ過ぎていたと言える。人間には限界がある。むしろ人間の「動物」としての本能に、社会の基盤を求めるべきである。

第十四章(ツイッター民主主義)

瞬間的に人を驚かし、動物的に、思わずリツイートしまうような発言こそが異質なタイムラインを横断する役割を担う。

人間的な交流は小さな共同体に閉じこもり、動物的な反応がそれを強引に、ランダムにこじ開けるという構図。これは民主主義2.0の思想と相同する。

第十五章(著者の夢)

本書の主題は、「情報技術を生かした新しい政治の姿」の「先」にある。今「政治」「国家」「公共」と呼ぶものの再構成である。

未来の国家は、国民が「生きる」為の必要最低限のサービスを提供する存在でしかないだろう。

動物的な生の安全は国家が保証し、人間的な生の自由は市場が提供する。それが本書が構想する未来世界である。

未来の世界においては、ネットワーク上の偶然を種として育つ、「ゆるい」政治参加が重要な役割を果たす事になる。

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