優れた社会批判の書!ガリヴァ旅行記のあらすじ・感想

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ガリヴァ旅行記 (新潮文庫)

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優れた社会批判の書

あらすじ

 1699年、船医レミュエル・ガリヴァーを乗せてイングランドを出航した船は、暴風雨にあって難破し、身長6インチほどの小さな人間の住むリリパットという国にたどり着く。そこで眠り込んでしまったガリヴァーは、仰向けのまま手足を大地に縛りつけられてしまう。リリパットは、対岸の国ブレフスキュと対立し、卵の食べ方をめぐる些細なことで長年戦争を続けてきた。3年後に帰国したガリヴァーは、好奇心を抑えることができず、ふたたび航海に出ることになった。
 この航海において、水を求めて上陸した土地にひとり取り残されたガヴァーが出会ったものは、身長が自分の何倍もある巨大な人間であった。ガリヴァーは、このブロブディンナグという国において珍しいペットのごとく扱われる。そして、リリパット国にいた頃の自分の立場とは全く正反対の状況のなか、人間の尊厳について、あるいは人間のはかなさについて思いを馳せる。

 次の航海においてガリヴァーは、空中に浮かぶ島ラピュタとその支配下にある陸地の国バルニバービなどに滞在する。ラピュタでは、数学・天文学や音楽しか理解しないが、政治には異常に関心をもつ奇妙な支配者たちに出会う。バルニバービでは、奇妙な研究を続ける学者たちが集まる学士院や、成果のあがらないそれらの研究にもとづく国づくりが原因で、荒廃していくバルニバービを目の当たりにする。

 さらにガリヴァーは、死者を呼び出すことのできる小島を訪問した後、父子の人間ストラルドブラグのいるラグナグ国へわたる。そこでは、不死の人間が、貪欲さなど、老人のもつあらゆる問題を抱えていることを知り、長寿という人類共通の願いが無意味であるばかりか、老人による支配が国を滅ぼすのではないかとさえ考えるようになる。その後、彼は、オランダ人になりすまし日本を経由して帰国した。

 最後の航海では、馬の姿をした理性的な生き物が住むフウイヌムの国にたどり着く。この国では、人間の姿をしたヤフーという獣が家畜として飼われているが、悪臭を放ち不潔で下品なこの生き物にガリヴァーは嫌悪感を抱く。反対に、理性のもとに生きるフウイヌムたちの姿にすっかり魅了されたガリヴァーは、帰国した後も人間とともに生活することが不快でたまらなくなるのであった。

感想

 本書の第一篇、第二篇は有名であるが、第三篇、第四篇に至って、スウィフトの風刺はますますさえわたる。17~18世紀のヨーロッパ社会を痛烈に批判するとともに、人間そのものに対する批判も辛らつである。こうした批判は、21世紀に入ってもなお戦争をやめることのない現代の世界の情勢を見るとき、けっして色あせることはない。また、ラピュタ、ヤフーという名称が現代において使われるのは、『ガリヴァー旅行記』が今なお刺激を与えているからかもしれない。

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