アートに文脈を混ぜる天才のBanksyを知りたいならば読むべし!ユリイカ2011年8月号

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ユリイカ2011年8月号 特集=バンクシーとは誰か? 路上のエピグラム

about

詩および批評を中心に文学、思想などを広く扱う芸術総合誌「ユリイカ」
今月号の特集は「Banksy」

「Banksy」とは

ロンドン発の覆面芸術家。プロフィールはまだ明らかになっていない。社会風刺的なグラフィティアート、ストリートアート活動を世界各国でゲリラ的に繰り広げている。中でも2005年、自作を世界各国の有名美術館の人気のない部屋に無断で展示し、しばらくの間誰にも気づかれないまま展示され続けたことが話題を呼んだ。バンクシーの熱烈な追っかけを芸術家に仕立てた映画「EXIT THROUGH THE GIFT SHOP(土産屋を通って帰れ)」は昨年公開され、アカデミー賞ドキュメンタリー部門にノミネートされた。

バンクシーとは誰か?~路上のエピグラム~

「バンクシーとは誰か?」 いとうせいこう×大山エンリコイサム

・グラフィティとストリート・アート
・落首とグラフィティ
・匿名性と顕名性のずらし
・バンクシー=デュシャン説
・公共/私有のキワとしての壁

「現代アートで、モノの見方を楽しむ」 ポール・スミス

バンクシーの魅力は、それまでスプレー缶で名前を書く作品が多かったグラフィティに、ステンシルを使って、視覚的にもデザイン的にも美しい絵柄を導入したこと。そして、社会風刺とユーモア、明確な社会へのメッセージを持ち込んだこと。それは、とても革命的だった。彼は20世紀で最も優れたアーティストだと思っている。なぜなら、オブザベーションに訴える力があるから。

作家も生きていかなければいけませんから、値段がつくことは、必ずしも悪い現象ではないと思います。創作活動で稼げなければ、結局長続きはできません。昔からのファンの中では、賛否両論あるようですが、変わり続けていくことが、アーティストの条件なんじゃないかと私は思います。ボブ・ディランを考えてみてください。どんどん新しいことに挑戦して、そのたびにファンから非難の声が上がっても、挑戦をやめようとはしなかった。変わり続ける必要があったのではないでしょうか。自分自身の中で、何かを目覚めさせ続けていくために。

ミスター・ブレインウォッシュのいじり方 by高須光聖

バンクシーはモノ(作品)自体はどうでもいいのかもしれない。モノは実はきっかけだったりするだけで、あとはどう話題を生んで、どう言葉がうねるようにみんなが繋がっていくのかなというループをバンクシーはイメージして、そのイメージの遊びをやっているという感じ。前時代のアーティストだったらきっと、作品としてのモノを残すことが目的だったりするわけですけど、もうそういうことではないんでしょう。今やYouTubeやなんかどこにでもモノは転がってるし、誰かがその映像を持っているから別にモノとして残さなくてもいいのかもしれない。逆にそんな時代の中で伝説を残すことのほうが難しいんじゃないでしょうか。そういう意味ではバンクシーの匿名性とか、顔を見せないことというのは、伝説を野押す上での大きな要素として機能しているわけです。本人もそいうことを多分に意識しているんじゃないかな。

その他

■「Londonerの見たバンクシー」byスプツニ子!

■「バンクシーという生存戦略」by黒瀬陽平

■「グラフィティの彼岸~バンクシー、そしてミスターブレインウォッシュ」by荏開津広

■「実存的ステンシル主義者の報復とファンタジー」byイルコモンズ

■「バンクシーズ・リテラシー」by大山エンリコイサム

■「バンクシー・テーマ別作品解説」by小田マサノリ他

■「ブリストルのバンクシー」by毛利嘉考

などなど

・バンクシーに至るまで、現代アート変遷のまとめ
・バンクシーがやっていることの意味
・現代アートが美術館に入るということは
・新しいグラフィティの形

といったことが書かれている。

おわりに

活字が多く、ボリュームがある。一応、バンクシーについての解説は付いているので、初心者が読んで理解するのも可能だと思う。本書はバンクシーについての考察がメインで、1冊全部読めば、彼の「作品」「背景」「哲学」なんかが網羅できると思う。現代アート全般をもっと詳しく知りたいという人は他にあたってもらう方がいいかなと。
万人向けではないが、コストパフォーマンスの高い良書!

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