教育の基本原理=憧れに憧れる関係づくり、学び合い刺激し会う友情の関係

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教育力 (岩波新書)

教育に関わるものは、その基本原理を抑えてから出発しよう

「基本的な原理原則に無知なまま教育の意思だけ持っているのでは周りが迷惑である」とまで言い切り、基本原理の確認を重要視した本。人間は誰でも自分の意思を相手に伝えたい、知っていることを教えたいと思うものだけれども、そういう「教えたがり」の人は、この本を読んで基本原理をおさらいしておくと良いと思う。

目次

教えること、学ぶこと
教育力の基本とは
真似る力と段取り力
研究者性、関係の力、テキスト探し
試験について考えなおす
見抜く力、見守る力
文化遺産を継承する力
応答できる体
アイデンティティを育てる教育
ノートの本質、プリントの役割
呼吸、身体、学ぶ構え

教育の基本原理=憧れに憧れる関係づくり、学び合い刺激し会う友情の関係

・教育の根底にあるのは、憧れの伝染である。教育の一番の基本は学ぶ意欲をかきたてることであり、そのためには、教えるもの自身が、憧れを強く持つ必要がある。あこがれのベクトルは、言葉を超えて、身体から身体へと感じ取られるものである。感化力の達人たれ。

・教師と生徒は、サービスする側とサービスされる側にはっきり立場が別れて良いものではない。学ぶという関係には、親子関係や恋愛関係よりも友情関係が似合っている。向上心は友情の関係によって育まれる。親しみやすさと適度な緊張感の共有が必要だ。これからいかにスべきかという現実的な問題意識を、議論を通じて共有しあう。

・学ぶことのプロフェッショナルであるからこそ、教える側に立つことができる。教え方しか知らないのでは、相手の学ぶ気持ちに火をつけることは難しい。

・教育において、「新鮮さ」は決定的な重要性を持っている。単に未熟であることがいいわけではない。自分が未熟であることを自覚し、その分精一杯準備し、情熱を持って語りかけるとき、未熟さがプラスに変わる。

・教師がいなくとも優れた学習が進むという場を創り上げる教師こそ、名人レベルと呼ぶべきである。緒方塾では、学習のシステムをしっかりと確立した上で、生徒の自主的な学習に任せていた。「会読」という実力主義的な仕組みで、切磋琢磨する関係性を創り上げた。

・教育の基本はテキストと問いである。内容の濃いテキストを生徒に出合わせ、そこに問を投げかけテキストからの吸収をよくさせる。物事を考えるための視点や切り口を提示し、あとは生徒に考えさせる。これによって、教師が逆に授業中にインスピレーションを得ることもある。 教師が自分の答えだけに凝り固まっていては、生徒は安心して発想の羽を広げることができない。

・その教科を学ぶうちに好きにさせるのが教師の腕の見せ所だ。しかしたとえその一年で好きにならずとも、強制力を持って身につけさせる。そのことに酔って、後々感謝されるというのが美しい教育の姿というものではないか。

・教育はリターンははっきりしたものではない。ギブアンドテイク的な人間関係しか結べない人には向いていない仕事だといえる。見返りどころか、とってくれるだけで十分です、という人がやれば良い。太陽のようでありたい。

・教師は学び方のコツ、当の知識を記憶する必要性を説得力を持って語れなければいけない。「文脈力」が必要だ。ただ強制するのではなく、学びに「誘惑する力」が必要だ。感化ともいう。その上で、敷居が高い部分にはちゃんと階段をつけたり、スロープを付けて登りやすくシてやるべきだ。

・カリキュラムをきちんとこなすプロセスを通じて、知識だけでなく向上心を技化していくことが教育の主たる役割である。特に勉強の基本は自己中心的・独善的な態度を一旦おさえて「積極的に受動的な構え」を創り上げることが求められる。つまり学習を通じて素直さが育つように導かねばならない。勉強するほど意固地になっているとしたら、これはどこか学び方が狂っている。

・「教養がないこと恥ずかしいことなのだ」という大きな空気を作ることも、学びを促す上で重要だ。この意識を持っていることは教育者の条件である。

・学びの基本は真似である。真似することは一見無意識の行動のようだが、実はポイントを認識(意識化)して文字にすることができて、初めて定着する。つまり高度な観察力、技を盗んでやるという強い意識が必要である。

・段取りを教える、全体像を見ることを教える。「自分はなんのためにこれをやっているのかわからない」という迷子状態に陥らないようにするのが先生の役目だ。たとえば文系に進む人にとって理科の実験が最も役に立つのは、「結局これは何のためにやっているのか」「これがわかるとこれになる」「もしこれがダメならこの条件を変えれば良い」という段取りの組み方を身を持って学ぶことにある。

2章まで紹介。残りは本書で。

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