会社がつぶれるまでの有名経営者の苦しみが理解できる一冊

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社長失格―ぼくの会社がつぶれた理由

会社を潰さないために

ベンチャービジネスにもっとも欠けているもの、それはアイデアでもヒトでもない。カネだ。

アイデアがシンプルなだけに誰でも真似できるが、データベース利用が前提となれば、先に情報をストックした方が勝ち。

仕事でも、私生活でも、この頃のぼくは、一回り、いや二回りは大きいぶかぶかの高級スーツを着せられたようなものだった。そして、自分の体をこの「スーツ」にすぐに合わせようと、背伸びをし、シークレットブーツを履き、筋肉増強剤を打ち始めていた。無論、こうしたドーピングは体に悪い。が、副作用に気づいた頃には、もはや医者も手が施しようがなくなっているものだ。ぼくの場合もそうだつた。九六年二月時点のぼくにそこまでの思慮はなかった。実体以上に大きく膨らみはじめた事業と自分自身をより大きく見せようと、ぼくはハイパーシステムのプロモーションに力を入れた。

本当の経営者ならば、数年聞かけて育ててきたIMSをもっと大切に扱うはずだ。ビジネスの社会で、その場その場の取引が理不尽かどうかは必ずしも問題ではない。問題は結果なのだ。ぼくは、自分の論理とプライドと引き換えに、大事な客を失ってしまったのだ。これはなによりの損失だった。

ぼくが一瞬迷ったあのとき、もし、もう一つの道を選んでいたら、今ごろどうなっていただろうか。東急エージェンシー社長とのアポを優先させていたらどうなっていただろうか。ビル・ゲイツに会わなかったらどうなっていただろうか。いまさら考えてもしかたがない。商売に、もし、は禁物なのだ。

ハイパーシステムの事業を本格的にスタートしてから、ほぼ一年が過ぎていた。そのたった一年の間に、通常の起業家がへたをすると10年かかっても出会わないようなことを、早回しでビデオを再生したようにぼくは七倍速で経験してしまった。

「板倉さんはさ、アイデアを最初に考え出して起業するまではいいんだよね。でも、起業したあとに組識を作って安定的に経営するのはあんまり向いていないんじゃないの。そもそも飽きっぽいし」ベンチャー大国米国では、アイデアを出し起業するいわゆる「起業家」とその後実際に経営を行う「経営者」が別人であるケースは、珍しくない。要するにこの二つの仕事は性格がまったく異なるものなのだ。両方の資質を持っているならばともかく、片方だけの場合、どちらかの仕事に専念した方がよいに決まっている。

当社が簡単に銀行から資金調達ができた理由がわかった。住友銀行がメインでいるから他行もカネを貸してくれたのである。他の六行にとって住友銀行という大銀行が融資していることが、当社の財務内容や事業内容以上に重要な「保険」だったのだ。

思えば九五年のベンチャーブームに伴う銀行の無担保融資攻勢が、ハイパーネットの資金的な下支えとなった。それが今度は自己資本比率改善に伴う貸し渋りの波を受け、かきあつめたカネがいっせいに引こうとしている。なんてことはない。ハイパーネットは、90年代中後期の日本の金融システムの「改革」によって舞台に上がり、そして次の「改革」によって引きずり下ろされようとしているのだ。無論、こんな分析は、いま、当時の新聞や雑誌を読み直したからできるのである。九七年春の時点で、「自己資本比率」も「貸し渋り」もぼくの頭にはなかった。とにかく、逃げ出したカネをもう一度集めようと必死だった。

都合のよすぎる話が実現したためしはない。

複数の銀行からの融資というのがいけなかった。銀行は、基本的に横並びで行動するのだから、金を貸すときも、金を回収するときも、みな仲良くいっしょに動く。

ぼくには究極の状況でぼくを支えてくれる人がいないことを実感した。そしてそれは結局それまでのぼくがいたらなかったせいだということもわかっていた。会社を早々に辞めた社員にしても、この彼女にしても同じだった。ぼくの配慮が足りなかった。

自分が同じ立場だったら、やはり最低限得るべき権利を主張するだろう。間違っているのは、会社を傾けてしまったぼくの方だ。迷惑をかけているのもぼくの方だ。そう理屈では分かっていても、やはりぼくは脱力しつつあった。何のために、誰のために、おれは会社を維持しようとしているのか。株主か? 金融機関か?ユーザーか? クライアントか? それとも社員か? いや、やはり自分のためか?もはや誰のためでもないような気がしてきた。誰も望んでいないような気がした。それでもまだどこかで、「ここでつぶしてたまるか」という声がしていた。その声だけがぼくの頼りだった。

感想

読んでいてすごく怖くなった。会社は経営者のかじとり一つで潰れてしまうというリアルを改めて感じた。
また、経済の大きな流れを学習する必要性も理解できた。
会社を経営している人は読むべきだと感じた。ホリエモンの本もそうだけど、リアルが詰まった本は本当に心に響く。

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