特定派遣労働者の問題

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テロリズムの罠 右巻  忍び寄るファシズムの魅力 (角川oneテーマ21)

本書の概要

 第1部では、ロシア・中国に内在するロジックを解説し、第2部では、資本主義の欠陥を他者の論考を通じて明らかにし、新自由主義に対する反動から生じるかもしれない、ファシズムへの兆候を示している。さすがにロシアについては専門領域なので様々に分析されているが、第2部は基本的に引用が多く、ワクワク感は控えめのように思う。

 後半では、絶対的貧困の現状と、過去にファシズムが台頭した時代の状況を比較することで、今後に起きるかもしれない変化を推測している。特に、雇い止めなどの問題について経団連などが取り組むことを提案しているのだが、それだけでは問題は解決しないのではないかと思う。なぜなら、企業に国籍は必要ないので、市場を日本に限定する理由がないからだ。
 日本での製造経費が高くなれば他国に拠点を移すだけで済むし、日本市場が縮小する以上に外国市場が拡大すれば、企業が得る利益はむしろ増える。だから、派遣をやめて正規雇用を義務付けるというような対策は、かえって逆効果になるかも知れない。

特定派遣労働者の問題

 派遣の問題は、大企業との雇用関係よりも、派遣会社との雇用関係に根本的な原因がある気がする。結局、派遣会社という中間業者による搾取と、派遣社員に対する教育の機会が与えられないということが、貧困の負の連鎖を生み出すことになるのだろう。
 だから例えば、派遣会社の業界団体を設立して事業規模に比例して出資させ研修センターをいくつか作るのはどうだろう。派遣会社に就職した人は必ずそこで一定期間研修を受けることを義務づけることにより、社会人としての基礎的なスキルも身につけられるから、仮に派遣切りにあっても、どこかで再雇用される確率は高まると思うし、正社員として雇用されるチャンスも高まるだろう。
 補助金や社会保障を積み増せば、一時的には救われるかもしれないが、その子供たちに貧困が継承されてしまうかもしれない。ならば、そのお金をスキルアップの仕組み作りとそれを指導する人の確保に使ったほうが、後々よいかもしれない。

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