儒教・仏教・道教 東アジアの思想空間の書評・感想

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儒教・仏教・道教 東アジアの思想空間 (講談社選書メチエ)

本書の概要

 本書のサブタイトルに言う東アジアとは、主に中国のことである。儒教による統治システムと、それに対するアンチテーゼとしての道教、そして庶民の生活に寄り添う仏教という3つの要素が混じり合って互いに補完し合い、ひとつの社会を作り上げている。そんな様子を、パラパラといくつかの例を参照しながら語っているのが本書だと言えよう。
 この様な形式であるため、体系的に学問をしようという姿勢とは相反するところがある。率直に言うならば、儒教・仏教・道教に関するトリビアを選択的に寄せ集めて、ひとつにまとめた様に感じられなくもない。これは著者が、本文中にも随所に見られることではあるが、大衆に学問の話をするときには娯楽的要素を交えなければならない、という考えを持っているからかもしれない。つまり、興味を引きそうな部分を抜き出すのだ。

本書の不満点

 少しずつ基礎を積み上げていって思考を構築しようという読み方には全く向かない。しかし、見るところがないかと言えば、そんなことはない。例えば日本において、正月は神道、彼岸・お盆は仏教、社会システムは儒教、年末にはキリスト教になるという様な、様々な思想の融合がどうして受け入れられるのか、という様な問いに対して、ひとつのアイデアを提供してくれている気がするからだ。

本書を読んで考えたこと

 そもそも日本の仏教は、朝鮮半島を経由して中国からはいってきた。しかし中国の時点で、疑経という中国で作られた経典の影響により、インド仏教からのゆがみが生じている。そして疑経は、儒教などの影響を受けて作られたりしているわけだ。
 このことから考えると、思想の純粋性は発祥地からの距離に負の相関がある様に思える。そういう意味でいうと、日本の地理的位置は、大陸の端っこ、どの思想の出発点からも最も遠い場所にあるわけだ。途中で様々な要素をのみこんで変化した思想がベースになっているのだから、受容性が高いのもうなずける。

 おそらく、儒教・仏教・道教の根本をきちんと知りたいならば、他の本を読んだ方が良いとは思う。

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