水の世界地図 第2版の書評・感想

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水の世界地図 第2版 刻々と変化する水と世界の問題

本書の概要

 水の分布やその変動に関する供給サイドの話、生活・食糧生産・工業など需要サイドの話、汚染・生態系など水資源の棄損の話、そして未来における水マネジメントの話と、章を分けて、各節ごとにメッセージを視覚化した地図を掲載し、直観的に分かりやすい構成になっている。また、各節のメッセージが明確なので、目次を読み込んだだけでも、おおよその内容は理解できるだろう。
 イスラエルとパレスチナの水分配の不平等や、国際河川における水紛争のエピソードなど、知るとなるほど争いになるのももっともと思えるような話がいっぱいで勉強になる。統合的水資源マネジメントやミレニアム開発目標の話は、他の本でもっと学んでも良いかもしれない。

本書の懸念点

 しかし、こういった良い点もあるのだが、いくつか気になる点もある。まず、ページ間で数値の整合性が取れていないところが多々見られる。この辺りは監訳者も気になったらしく、注釈が入れられている。
 また、農業、漁業、工業に使う水は別立てで節があるのに、なぜ畜産は別立てになっていないのだろう?また、主に言及されているのがアジア・中東・アフリカの話であることも気になる。もちろん、こういった地域で課題が山積しているというのは間違いないだろうが、当然、欧米諸国にも課題はあるはずであり、そのバランスが適切かに疑問を感じてしまう。
 この様な気になるポイントを挙げていくと、アル・ゴア「不都合な真実」と同様の匂いを感じざるを得ない。つまり、自分たちの導きたい結論にあわせて、様々な場所からデータを借りてきて、継ぎ接ぎにまとめているのではないか、という疑問だ。そして各データの前提となる要素が異なるため、各ページで微妙な矛盾が生じてしまうのではないか?

個人的な感想

 本書の内容がすべて間違っているという気は毛頭ないし、非常に勉強になる部分が多いことも間違いないとは思う。しかしこれが真実だと思いこんでしまい、それに基づいて政策立案をすれば、過去に国連や世銀がして来た失敗を繰り返すだけになってしまう気がして仕方がない。
 このため、頭から正しいと思いこんで突っ込んでいかず、一歩引いた場所から読むのが、本書に対する適切な接し方なのではないかと思う。

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