池上彰氏が、世界情勢のポイントを簡潔に解説! 知らないと恥をかく世界の大問題

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知らないと恥をかく世界の大問題 (角川SSC新書)

概要

池上彰氏が、世界情勢のポイントを簡潔に解説する。09年11月初版発行。

新しい「世界の勢力地図」

◆お金がアメリカから中東、インド、中国方面へ流れている。世界の重心は西から東へ。
 →人口増加で今後資源が不足する=資源のあるところにお金が集まる
◆リーマン・ショックなど金融危機の対策でダブついたお金により、インフレの懸念が。
◆世界の枠組みはG7からG20へ。BRICs抜きでは経済問題も解決できない時代に。
◆太平洋では米中が、北極海・ヨーロッパをめぐっては米ロが対立。
 →一方でヨーロッパ、イスラム圏は覇権を握るという発想がない
◆日本では政権が交代。外交は大きく変化しないだろうが、世論が成熟するきっかけに。

アメリカの転落

◆リーマン・ブラザーズ社の破綻で世界的に金融不安が広がった。
 →アメリカは公的資金注入で抑え込みをはかる
◆クライスラー、ゼネラル・モーターズが破産。
 →製品の競争力がない。企業が福利厚生に金をかけすぎ(国民皆保険でないため)
◆“小さな政府”をめざす共和党は、不況に対し介入せず傷口を広げた。
 →民主党のオバマ大統領はグリーン・ニューディールによる雇用創出を打ち出す。
アメリカは車、金融工学と得意分野で転落したことになる。

アメリカの次の覇権国家は?

1 中東/アメリカに投資した金を引き上げ、自力で運用を。資源枯渇に備える
2 ロシア/天然ガス、石油が豊富。資源高で予算が一気に黒字に。栄光復活を目指す
3 中国/急速な経済発展。一党独裁でトップダウンの変革(=急速な開発)がしやすい。一方で格差が問題に
4 インド/成長の余地は中国以上。近年はカーストの制約を受けないIT産業が発展。課題はインフラ整備やテロのリスク
5 地中海のための連合/フランスは北アフリカへの勢力拡大を狙う

世界全体が抱える問題点

◆資源問題/原油が投機の対象になり価格が不安定に。
 →原油価格が上がればあらゆるものの価格が上がる
 →中東への石油依存を避けるため、アメリカはバイオエタノールを奨励
◆CO2削減/削減の動機をより高めようと経済原理を導入(排出権取引)。
◆米ドル不信/新たな基軸通貨としてSDR(IMFの特別引き出し権)が浮上。
 →SDR債券が人気を得ればアメリカ国債は売れなくなる
◆インフルエンザ/感染症は世界的な危機管理問題

新たな火種、世界各地の小競り合い

◆パレスチナ問題
 自爆テロの犠牲者は年々増加。閉塞した社会構造も、若者が死に急ぐ一因 
◆中国・新疆ウイグル自治区
 ウイグル族はトルコ系でイスラム教。中国の開発(漢民族文化流入)に反感をもつ
◆イランの核開発
 日本は原油の15%を輸入。アメリカとの関係が悪化すれば、日本にも影響が及ぶ
◆北朝鮮
 韓国大統領が変わり、南北融和の停滞が懸念される
◆アフリカの豊富な資源
 利権を得ようと、中国が軍事も含めてアフリカ各国を支援。日本とにらみ合う
◆ロシアと東欧
 旧ソ連圏諸国がEUに接近。ロシアはおもしろくない
◆中南米の反米ネットワーク
 ベネズエラ、ボリビアなど左派政権が次々と誕生している

日本の抱える問題点

◆年金問題/制度設計から数十年して問題が出てくるので、急がないといけない
◆介護保険/現場の労働条件悪化、人材不足が深刻
◆学力低下/フィンランドにヒントが。現場の裁量が大きく教師の技術向上意識も高い
◆郵政民営化は失敗?/サービスは向上した。デメリットを含め検討が必要
◆地方分権/進めた方がいい。中央の役人の数が減れば、コスト削減=物価に反映
◆農家への戸別所得補償/食料自給率を上げるためには効果的
◆納税システム/サラリーマンも確定申告制にすれば、もっと関心が高まるはず

私たちがなすべきこと

◆アメリカは民主党のオバマ大統領を選んだ。財政赤字や貧富の差の拡大、イスラム世界との分断など、ブッシュ(共和党)が残した負の遺産をどう変えていくか。
◆よく批判される小泉・竹中改革だが、郵政民営化や不良債権処理は評価できる。逆に人材派遣業法の改正はマイナス。全面肯定or否定ではなく項目ごとに見極めて。
◆民主党の印象としては“大きな政府”派。政府・与党の一元化や、特別会計を含めた予算見直しなどは注目。新政権はしがらみがない分、期待がかかる。
◆再生のために大事なのは、一人ひとりが自立すること。国に頼らず自分で考え行動しよう。

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