消費者の変化で、イメージの一方的伝達による広告が通用しない時代!消費者へのラブレターの渡し方

2266views折笠 隆折笠 隆

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明日の広告 変化した消費者とコミュニケーションする方法 (アスキー新書 045)

概要

著者は広告会社に勤務するクリエイティブ・ディレクター。ACC賞など受賞多数。

消費者の変化で、イメージの一方的伝達による広告が通用しない時代になった。消費者本位の発想や丁寧なコミュニケーションにより、共感を作りだすことが大事と訴える。

消費者へのラブレターの渡し方

広告は消費者へのラブレターのようなもの。

以前は(消費者が)真剣に読んでくれたが、ネットの普及でそんな時代は終わる。問題は

・ラブレターが届きにくい=メディアの多様化で、接触機会が減少
・ラブレター自体に興味がない=情報が多すぎて、いらない情報はスルー
・口説き文句を信じてくれない=いいことばかり書かれた広告を疑う
・友達同士で検討する=自分と感性が合う人のクチコミを判断基準に

あなた(広告)はモテなくなったのだ。対応としては

・受け取る方の身になって考える=送り手意識よりも消費者本位に
・待ち伏せしてラブレターを渡す=消費者に接触できるポイントを考え直す
・感動的なラブレターを=心を動かすテクニックで差をつける
・友達にも気に入ってもらう=クチコミをうまく利用する

ネットの出現で購入後も消費者とコミュニケーションができるようになった。そこにブランド構築のカギがある。

広告はこんなにモテなくなった

消費者が広告を信用しなくなった原因は大きく3つ。1=ネットの出現 2=情報洪水 3=成熟市場。広告に頼らずとも的確に商品を購入できる。

いまや参考にする情報源は広告ではなく「友人や信頼できる人」。だから企業側も認識変革を。消費者はターゲットではなく、パートナーだ。

変化した消費者を待ち伏せる7つの方法

1 消費者のコンタクト・ポイント洗い出し/店頭や交通広告など動線を分析
2 新しいメディアを創る/ゴミ箱、バスの屋根、トイレの鏡など
3 クチコミ利用/話題になりそうなコンテンツを作れば勝手に広まる
4 CGM活用/消費者が作ったメディアのこと。αブロガーなど
5 エンターテインメントの中/映画やライブの中に広告をしのばせる
6 検索結果/購買行動の中で「検索」が重要になった
7 メディアニュートラル/先入観にとらわれず、ターゲットに一番響く媒体を考える

消費者をもっともっとよく見る

商品本位で考えると、消費者の求めていないものを押し付けてしまいがち。「商品を誰に伝えるか」ではなく「商品を伝えてもらいたがっている人は誰か」を想像しよう。

「私ってF1層!」と意識しながら生きている人などいない。勝手なカテゴライズは、消費者の実像を見えにくくする。

スラムダンク1億冊キャンペーンの実例

作者の井上雄彦氏より、読者への感謝を伝える個人広告のオファーが。伝える相手は読者に絞り、あえて好きな人だけが集まる「場」を提供するプロモーションに決定。

まず新聞の全面広告にキャラクター描き下ろしを掲載。説明はなく小さなURL告知だけ。「スラムダンク」という文言さえなく、わかる人だけが盛り上がる構成で話題になる。URLをたどったサイトでは、いきなりメッセージの記入と観客キャラ選択を強要される。

画面は最終戦の観客席へ移動する。と、自分が選んだ観客キャラとメッセージが出現。他の客にスクロールすると、その記入者のメッセージが現れた。観客席がファンの寄せ書きで埋め尽くされているのだ。濃密な共有感。

ある日、サイトにイベントの告知をした。「スラムダンク-あれから10日後-」。廃校を借り、教室の黒板に井上氏がその後のスラムダンクを描く。決して幅広い告知ではなかったのに5000人が訪れた。参加者、制作者ともに充実感で満たされる。

初動に時間をかけ目標を共有することや、消費者本位で考えることの大事さを痛感した。

クリエイティブの重要性

コピーライターの杉山恒太郎氏は「消費者の心に何らかの価値変容を起こさないものを広告とは呼ばない」と。感動させる力がない広告は、単なる情報伝達に過ぎない。

最近心がけているクリエイティブ作法は

・認知に徹する/なんだかんだ言ってもCMのリーチ力は抜群
・よりプロモーショナルになる/イメージ型からプロモーション型への移行
・ありのままの自分を出す/見栄を張らない方が結果的に好感をもたれる
・購入者をもてなす/購入後の楽しみ方にもこだわる
・購入者に参加してもらう/いっしょに商品開発を行うなど

コミュニケーション・デザインはメディアの役割を明確にするので、衰えたと言われるマス広告の復権がありえる。

テレビが凋落したのはお茶の間の消滅。だが今は、PCなどとの同時視聴によって他ユーザーとつながる「ネオ茶の間」が生まれた。テレビは依然クチコミネタの宝庫だ。影響力はある。

消費者本位なチーム作り

消費者のために最適のチームを作りコミュニケーションを行う。すべては消費者のため。時代が変わろうとも、真剣に彼らの立場になって考えれば対応できるはずだ。

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