人の歴史の愚かさ

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怖い絵  死と乙女篇 (角川文庫)

戦争、争いを人間はいつになってもやめられない。

それは、今も昔も変わらない。
ただ、当時の人間はそれを口にしてはいけなかった。
画家だけが(ギリギリ危ないところで)表現できた。

画家だけが、当時の風景を残すことができた。
証人のようなものだ。

美しく、若い少女が処刑されるところをみたいと願う人々のために少女が犠牲になったこと…

戦争で追い詰められ銃で撃たれた人々…

美しい声のためにカストラート(去勢)された男性歌手…

貴族たちのドロドロとした権力争いに巻き込まれ殺害された兵士たち…

飲み物が高騰しミルクよりも安いからと子供にジンを飲ませ
自らもジンに酔いつぶれ狂態をさらす貧民街の大人たち…

この作品では著者の解釈ありきの作品だけどそれでいい。
絵画の見方は人それぞれで答えなどない。

答えはたぶん、今はなき画家たちに聞くしかないだろう。

でも、そんなことは不可能…だから、読み手は考えなければならない。

画家が世界に怒り、苦しみ、不条理を感じた
その思いをキャンバスに思う様ぶつけたその絵画を見て
画家が後世に遺そうとしたその感情を
読み手は解釈しなければいけない。

人の争い、醜さ、残酷さ全てを受け入れるために思考を止めてはいけないのだ。

たぶん、それが過去を偲び、未来を変える
一つの方法でもあると私は思う。

感想

表題作である「死と乙女」という作品も
争いとは関係はないがなかなか怖い…というよりも「かわいそう」な作品。

著者の読み解く絵の解釈は鋭いものがあるので
読んでいて勉強になるし
自分も独自の解釈を考えたくなる。
良い意味でも悪い意味でも好奇心を刺激される作品。

時代を通した色んな怖さを知ることができた一冊。

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