哲学者ベーコンの随想集、こんなに面白いという例をご紹介します。反乱の防止法と、ずるい手法の一覧。

1632views未来のための哲学講座 命題集未来のための哲学講座 命題集

このエントリーをはてなブックマークに追加
ベーコン随想集 (1983年) (岩波文庫)

噂は、政治において非常に大きな力を持ち大きな役割を演ずる。それ故、噂の真偽の判別、発生と拡散、収束と消滅などを研究し、十分に警戒することが必要だ。(フランシス・ベーコン(1561-1626))

反乱の防止法(フランシス・ベーコン(1561-1626))

 一般に、国民を怒らせて政権に反対する共通の目的のために団結させるようなことが起こらない限り、政権交代は起らない。注意すべき政策は、
(1) 特権の廃止、重税には注意すること。
 しかし一般に、多数派である貧しい人たちが不満を抱えていても、彼らはやっと生活するのに忙しく、政治的意識にも乏しく、余裕も知識もある恵まれている人たちによって扇動されない限り政治的な動きは概してにぶい。そこで、大切なことは次のことである。
(2) 上層階級と一般大衆の両方に不満を抱かせないこと。とくに、上層階級の人たちの不満が危険である。
(3) 貧富の差を大きくし過ぎないこと。
 貧富の差や不公平があったとしても、ある程度の生活水準が確保できていれば、政権は維持できる。その際、考慮すべきは次のことである。
(4) 国民に適度の自由を与えること。
(5) 国民に希望を抱かせ続けること。
(6) 秘密にしておくべき政策の真の意図を、ふとした「失言」によって漏らさないこと。
 また、不満を持つ人たちや反対派の人たちを団結させないように、しっかり手を打つこと。
(7) 反対派のリーダーを国家の側に引き入れること。
(8) 反対派にもう一人のリーダーを立て、反対派を分裂させること。
(9) 反対派を分裂、分断し、お互いに反目させること。
(10) 実力による担保も必要だ。

狡猾の一覧表(フランシス・ベーコン(1561-1626))

(1)相手を用心深く見る。
(2)別の話しで喜ばせ、油断に乗じて提案する。
(3)相手が考えるゆとりがない時に、不意打ちで提案する。
(4)成功を願っているふりをして、失敗する要素を提案する。
(5)言い出したことを途中で打ち切り、知りたいという欲望を掻き立てる。>
(6)いつもと違う様子や顔つきを見せて、相手に尋ねさせる。
(7)ほかの誰かに口火を切ってもらい、もっと発言力のある人が、その人の質問に答えるようなかたちで、言い(8)「世間の噂では」とか「こんな話が広がっている」とか。
(9)最も重要なことを、付けたりであるかのように追伸で書く。
(10)最も話したいことを、ほとんど忘れていたことのように話す。
(11)偶然を装って、相手に見せたい行動を、相手に見せる。
(12)相手に使わせようとする言葉を、ふと漏らしておき、相手が使ったら、それにつけこむ。
(13)自分が他の人に言ったことを、まるで他の人が自分に言ったことのように、他の人のせいにする。
(14)「私はこういうことはしない」。
(15)むきつけに言わず、噂話や物語を使って間接的に言う。
(16)もらいたいと思う返事を、あらかじめ自分の言葉や提案でまとめておく。
(17)自分の言いたいことは隠して、多くの別のことを持ち出しまわり道し、忍耐強く長い間待つ。
(18)不意の、無遠慮な、思いがけない問い。

関連まとめ

本のまとめカテゴリー


コメントを書く