天才ではないすべての創作者のための本。芸術としてではなく、仕事としての創作をするために。

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工学的ストーリー創作入門 売れる物語を書くために必要な6つの要素

`本書の目的

ストーリーのどこに何を書いて、なぜそれを書くべきなのか。言い換えると、創作のための「型」と「様式」を明らかにしている。

6つのコア要素

ストーリーは、6つのコア要素「コンセプト」「登場人物」「テーマ」「構成」「展開」「文体」からなる。これらをバランスよく整えなければ、プロとしての仕事を掴むことはできない。物語の書き方は自由だが、コア要素は自由には選べない。スポーツにフォームがあるように、外科手術では方法が決まっているように、売れるストーリーにも原則がある。

「コンセプト」とアイデアは異なる

「天国の話」はアイデア。「天国にいる人物の打ち明け話が殺人犯を探す話に発展する」はコンセプト。もし〜ならどうなるか? という問いを作った時にストーリーが見えてくるものがコンセプトになる。
テーマは、コンセプトとは全く違い、この物語が読者や社会に何をもたらすかという性質のものだ。

コンセプトの質

ストーリーの魅力は、うまい言い回しやコンセプトではなく、コンセプトの中で人物が動き、テーマを読者の心に響かせることである。その意味では、コンセプトが他の要素である「人物」「テーマ」「構成」との繋がりがもっとも重要である。

「`人物」の掘り下げ方

ストーリーの本質は人物と人物の間の「コンフリクト(葛藤)」である。コンフリクトが物語の流れを作り、その中での決断や行動が人物を浮かび上がらせる。

人物を三つの次元で捉える

  • 第一の次元「表面的な特徴、癖、習慣」
  • 第二の次元「バックストーリーと内面の悪魔」
  • 第三の次元「行動、態度、世界観」

転職したての人物がいたとして、表面上の笑顔や服装は第一の次元。いい社員として行動したがるのは、かつて勤務態度が悪く、嘘が多いことから過去に四度解雇された経験があるというのは第二の次元。第三の次元では、切羽詰まった時の行動が明らかにされる。

ストーリーの構成

4つのパート

  • 「設定」孤児のように先行きが見えない状況
  • 「反応」目指すべき場所は明らかになるのものの、それを探し始めた放浪者の状況
  • 「攻撃」態勢を立て直して積極的になった戦士の状態。内面の悪魔と戦い、行動を変え始める。
  • 「解決」主人公は自力で戦い、ヒーローになる。文字通り命をかけて戦うため、この状況を殉教者に喩える。

もっとも重要な転換点 プロットポイント1

プロットポイントまでは、設定や伏線を入れながらも、まだ物語が動き出していない。プロットポイント1では、新たに明らかにされた情報により、ストーリーが向かうべき方向を知る。以前にしていなかった行動を主人公がせざるを得なくなる瞬間、それがプロットポイント1となる。
このポイントで、コンフリクトが紹介され、ストーリーが動き始めることになる。
「船が氷山に衝突」「隕石が地球に落下」「殺人」と言った事件、あるいは「主人公が解雇」「妻の浮気の現場を見る」など私的なことでも、何かが大きく変わるのであればプロットポイントとしてはなんでもいい。要するに、「主人公が真実だと思っていたことは真実ではなかったかもしれない」ということを明らかにできれば良い。

感想

物語を作る上での一つの「型」を紹介している。この原則からはみ出る物語も多くあるだろうが、創作の難しさの一因である過剰な自由度をある程度抑えるためには有効なアプローチだと感じた。創作は一定のペースで進むとは限らず、仕事として不安定な要素を常に残すものだが、型を使用してその範囲内で書くことによって創作を芸術から仕事へと変えることができるのではないかと感じた。もちろん、実際の作品を作る上では芸術的な感覚を磨き、技術的に鍛錬をすることが不可欠であるが、魅力的なストーリーを天性の才能で理解できるのでないなら、何度もこの本に立ち戻ることも必要だと感じた。

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