需要が市場を支配する

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確率思考の戦略論  USJでも実証された数学マーケティングの力

ビジネスの成否は確率で決まっている

市場構造の本質

市場構造は、ある商品カテゴリー(例えばシャンプーなどのヘアケア製品)における、人々の意思と利害と行動が積み上がった全体としての業界の仕組みのこと。
ビジネスに関わる全てのプレイヤーの思惑と利害がミクロレベルで衝突し、それぞれの力関係に沿って、ある一定の「やり方」に収束する。
市場構造を形づくっている「本質」は、消費者の好み(プレファレンス)。
プレファレンスが市場構造を支配するため、ビジネスに関わるあらゆるプレイヤーは、消費者に従わざるを得ない。

戦略の本質

ビジネスの売上を伸ばすためには、①自社ブランドへのプレファレンスを高める、②認知を高める、③配荷を高める、の3つしかない。
つまり戦略、経営資源の配分先は結局のところ上記の3つに集約される。
プレファレンスを上げることで成長させることを、「ブランドの質的な成長」、認知や配荷を上げることで成長させることを「ブランドの量的な成長」と呼ぶ。

戦略はどうやって作るのか

戦略は必ず達成したい目的付近の景色を明確にしてから逆算で組んでいく。
達成したい目的があるとき、次になすべきことは、その目的が達成できているときの状況を想像力と数値を使って徹底的に考える。アートな部分に対して、サイエンスで検証を行うことが必要。

数字に熱を込めろ

意思決定に「感情」は邪魔になる。CEO、外科医や弁護士、ジャーナリストにはサイコパス性を持つ人が多く、ここでいうサイコパス性とは「感情的葛藤や人間関係のしがらみなどに迷うことなく、目的に対して純粋に正しい行動が取れる性質のこと」。
ただし、戦略が正しいことは、成功するための必要条件であるが、それだけでは十分ではない。
組織全体が、どれだけ集中的に戦略に従事できるかが重要となり、そのためにリーダーは誰よりも「熱」を持っていなければいけない。

市場調査の本質と役割

市場調査の本質は、プレファレンスとその仕組みを解明して、マーケティングの決定者に提供することで、成功確率の高い戦略を選択できるようにすること。
ただし消費者調査には限界があることを認識しておくことは重要。調査という状況において、質問の仕方を工夫したとしても、必ずしも目的に沿った正確な情報を獲得できるとは限らない。
ビジネスの本質的な理解や、未来を予測するためには質的データから得られる情報が重要となる。

需要予測の理論と実践

需要予測というものは、そもそも100%で当たるものではない。
重要なことは、予測を「大きく外さないこと」。そのために大枠をおさえることが大切であり、より多くの多角的、独立的な試算をすれば、大抵の場合は精度が上がる。

感想

本のスコアは、食べログで言うと3.6。

定性的な説明と、定量的な説明のバランスが良く取れており、マーケティングを洗練させた著者ならではというセンスを感じる内容だった。
資本主義という枠組みの中、市場経済において需要が全てを支配すると考え、そのために需要を正確に予測することがビジネスにおいて、どれほど重要かが改めて認識できる。
正確な予測を行う能力はブランドビジネスのみならず、普遍的に重要な力(将来の株価を予測等)であると思う。

私自身外資系消費財企業にて勤務しており、需要を予測することの難しさを日々痛感しているが、本著にもあったようにどういった側面から予測を行うのか、またそれを多角的な視点から見ることによっても、より精度は上がっていくと感じる。

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