村上隆が世界で成功した理由、一方で日本美術が海外で相手にされない理由「芸術起業論」

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芸術起業論 (幻冬舎文庫)

芸術で起業するということ

欧米の芸術にはルールが存在する

  • ルールとは、自らのアイデンティティを突き詰めた作品を作り、それによって美術史に新たな文脈を作り出すこと。例えば、ただの便器にサインをして作品に昇華させたデュシャンのように。それを理解せず思い付きで作っていても、世界では絶対に評価されない

アートの鑑賞者は欧米の富裕層。彼らにとってアートは知的な仕掛けを楽しむゲーム

  • 物語がなければ作品は売れない。だから、理解されるために制作者は多くの媒体に露出し、大勢の人に査定してもらう

美術史に残る優れた作品を作るためには、誰が何と言おうと金が必要だ

  • 芸術にビジネスを持ち込むなんて汚らわしい、といった批判は完全に的外れ。金がなければ、アーティストはギャラリーの単なる持ち駒にしかならないし、制作環境も保てない

芸術には開国が必要である

自身の核心部分を突き詰めた上で、欧米アートの文脈に従い発表できれば成功

  • 二次元的な表現、階層性のなさなどを打ち出した「スーパー・フラット展」は、日本美術の来歴を欧米の文脈に合わせて提示することで、大きな反響を呼んだ

ゴッホ、ピカソ…。価値について、作品の技術以上に重要なのは実はサブストーリーだ

  • 発信者と鑑賞者の心がともに揺さぶられてこそ、アートが成立するのだから

とにかく、世界基準のルールを理解しよう

  • 評価されるのは、そのルールをきっちり踏まえた上で新たな創造性や解釈、意図的なルール破りなどがあるかどうか。ルールを踏まえずに「魂の叫び」みたいなものを内輪でウダウダやっている日本美術は、世界に評価される喜びを永遠に知らないだろう

芸術の価値を生み出す訓練

6800万円の値が付いたフィギュアMiss ko2は、実は当初まったく人気なし

  • Hiropponなど他の作品の評価が高まった後、その源流が実はMiss ko2にあったとして突発的に高評価となった。作品がルールの中で「意味付けられる」と、そこに高い評価が生まれる

では、作品を意味づける方法とは? それは「世界で唯一の自分を見つけ、その核心となる部分を歴史の中で相対化して発表すること」

  • 評価されるのは常にオリジナリティ。世界で唯一の自分を、アートの文脈の中にうまく乗せて発表していく
  • アーティスト「Mr.」は、オタクでロリコンで元暴走族でゴミ収集家で芸術家志望という唯一無二のキャラクターを昇華させて作品を発表

若手に対するマネジメントの際は、作品が市場に耐えうるものかを常にチェックする

  • 評価が高まった頃に能力が枯渇したら話にならない。その時までにどう付加価値を付けられるかを探る

才能を限界まで引き出す方法

芸術家は死んでからが勝負

  • 芸術とは、一握りの天才に凡人が挑み、そして食われていく地獄。死後にどんな文脈で評価されるか、も生前に心構えをしておく

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