相変わらず、苦みが残ります。でも、その苦みがクセになるのです。

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製造迷夢 (徳間文庫)

モノに残った思念を読む、リーディングという能力の持ち主、井伏美潮と、渋谷猿楽署の刑事、一条風太のコンビが活躍する連作モノ。

「天国の花の香り」
作曲家・石原流名が覚醒剤で現行犯逮捕され猿楽署に引き渡されてきた。だが、拘留中に自殺してしまう。一条のもとに、妹の友人である絵利子が訪れ、石原が逮捕された正確な時刻を知りたいのだというが…。一条と美潮が会うきっかけとなった事件。

「製造迷夢」
クスリで保護された12歳の野中亜美が、万引きで逮捕されてきた主婦のふくらはぎに噛みついた。少女は「前世にその人に殺された復讐だ」と言うのだ…。

「逃亡の街」
女性を狙った連続殺人事件が発生する。重要参考人としてレストランのオーナーを容疑者として取り調べるが、「私は無実だ」という言葉を残して飛び込み自殺をする・・・。など五編。

美潮は一条と出会って以来、事件に首を突っ込むのだが、そのたびに美潮自身、深く傷つく。
じゃ、首を突っ込むなと、言いたくもなるが、事件に巻き込まれた者のために、あえて、
関わっていく。

一条は、そんな美潮をうっとうしく思いながらも、いつしか、守ろうとしているのだ。

感想

刑事と超能力を持つ女性コンビ、ありそうでなさそうな組み合わせ。
二人の活躍と言っても、この作家さんの作品『らしく』、結末を迎える時には、
後味に少々苦みが残る。この苦み、読めば読むほどクセになるんだゎ。

火事から子どもを助けたために顔に火傷を負った一条。それは、刑事としては勲章なのだが、
彼の心に陰りのようなものを残す。後々はっきりするのだが、美潮も辛い過去を持ち、
その二人の醸し出す雰囲気が物語のに陰を落とす。

超能力といっても触れただけで何もかもお見通しというわけではなく、
それをきっかけに、一条が推理し真相に迫っていく。
そこで出会うものは、虐待、支配、人格分裂と、どれも心の奥底に潜む悪意が
形を変えて顔を表したもの。その悪意が取り払われずに、別の場所で
くすぶり続けるという結末もあるが。

このコンビの行く末が気になる。続編、出ないかなぁ。

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