<葉村晶>シリーズ、待望の新刊。日本一不運で、同じくらいタフな女探偵の物語。

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錆びた滑車 (文春文庫)

葉村は、石和梅子という老女の尾行という下請け仕事を、
付き合いのある「東都総合リサーチ」社から受けた。

梅子が訪問したアパートで張り込んでいたところ、
突然、彼女と、訪問した相手、青沼ミツエがアパートの階段から転がり落ちてくる。
葉村は、その二人に巻き込まれ、ケガを負ってしまうのだ。

ミツエとの妙な縁がきかっけで、彼女の孫、ヒロトとも知り合う。
八カ月前、ヒロトは父親と一緒に交通事故にあい、父親は死亡、ヒロトは重傷を負った。
さらに、事故の前後の記憶をなくしている。

そんなヒロトから、父親と自分が事故現場にいた訳を調べてほしいと頼まれる。

調査を進めるうち、大麻、鎮痛剤の横流し、密売といった事実が浮かび上がり、
事件は複雑化していく。

そして、ミツエとヒロトが住むアパートから火が出て、二人は…。

感想

これまでは、冷笑を浮かべ、皮肉たっぷりの目で周囲を見ていた葉村だが、
最近少々、体もメンタルも弱ってきていそうな。それに、愚痴も多くなっている。

タフな女探偵も、もう、四十過ぎ。仕方ないとはいえ、とんがったところだけは、
失ってほしくない。

それに、この作品でも感じたのだが、葉村は結局のところ、かなりのお人好し。
彼女の周りには、常に、人の都合などお構いなしの人間が登場してくるのだが、
彼らに心の中で毒づきながらも、ムチャぶりでもなんでも、つい、手を貸してしまう。
さらに、前々作と同様、今回も登場した当麻警部にもいいように動かされている感あり。

葉村シリーズの登場人物たちは、富山店長を始めとし、
いずれも、一癖も二癖もあるしたたかな人間で、個性的といえば、そうなのだろう。
あまりにもキャラ立ちし、葉村がかすんでしまいそうだ。

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