怨念の裏には、切ない恋心が…。

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魍魎桜 よろず建物因縁帳 (講談社タイガ)

曳やの仙龍、コーイチ、そしてサニワの力を持つという春菜、
民俗学教授の小林、雷助和尚。悪しき因縁を断ち切るため、力強いチームが
再登場。「よろず建物因縁帳」シリーズの5作目。

猿沢地区の地滑り跡から、漆喰の繭状のものに包まれた
男性の人骨が発見された。

それは、はるかはるかの昔。この地で人柱となった旅の僧のものだと推測された。
民俗学的見地から、小林教授がその遺骨に関わっていく。

そのころ、同地区では老婆の死霊が相次いで目撃され、その死霊に出会ったものは体の不調を
訴える、あるいは命を落としてしまう。

今回、隠温羅流の職人たちが曳くのは、樹齢八百年の魂呼び桜である。

悪しき縁は断ち切るため、春菜、仙龍、コーイチ、雷助和尚、小林教授、
いつもの面々が顔をそろえる…。

感想

このシリーズが始まった時の春菜は、ただただ、鼻っ柱の強い、独りよがりの女という
感じだったが、まっすぐで、一途な女の子へと、そのイメージは変わっていった。
そして、徐々に、仙龍への思いが溢れてきて、かわいらしい。

桜は昔から、数多くの作品に取り上げられ、描写されてきた。
その華麗な姿は、あまりにも華麗であるがゆえに、
この世のものではないものとの関わりがイメージされる。
そして、時には「死」とも結びつく。

だが、それはあくまでも、人の勝手な思い込みで、
桜は桜でしかなく、完璧な美しさを誇り、そして瞬く間に、
この世から消え去っていく。

改めて思うが、最後の儀式に臨む職人たちは、実に格好が良い。
だが、それは、この世とあの世の境に居て、悪縁を断ち切るために
命を懸ける男たちだからである。
そして、魂呼び桜を曳く場面は、感動的だ…。

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