恋人を、わたしが決めるのではなく細菌が決めるのである

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あなたの体は9割が細菌 微生物の生態系が崩れはじめた [kindle版]

参考文献紹介と索引まで含めると343頁とそれなりの厚みがあります
翻訳書にありがちな英文にほんご臭さがなくて、読みやすく面白い

プロローグ 回復はしたけれど
序章  人体の90%は微生物でできている
第1章 21世紀の病気
第2章 あらゆる病気は腸から始まる
第3章 心を操る微生物
第4章 利己的な微生物
第5章 微生物世界の果てしなき戦い
第6章 あなたはあなたの微生物が食べたものでできている
第7章 産声を上げたときから
第8章 微生物生態系を修復する
終章  21世紀の健康
エピローグ 100%の世話をする

著者はマレーシアでコウモリの生態研究中に暗闇の森で
50匹のダニにくわれ、ダニ媒介型の感染症を発症する
イギリスに帰国し抗生物質の薬漬け治療で、さまざまな副作用を経験し
自分の身体にもともといた細菌まで絶滅してしまったのではないかと思うようになり
かつて自分の棲み処としていた100兆個の友好的な微生物がどれだけ重要な存在であったかを
はじめて意識したという

その後、ヒトゲノム・プロジェクト研究の進化によってDNA解析がポピュラーとなり
糞便を利用できることから、細菌のなかでも腸内細菌の研究が飛躍的にすすんだ
マイクロバイオーム(腸内フローラ)の研究である
腸管内だけでも4000種100兆個の微生物が存在するという
数で比べれば共生微生物の細胞のほうが、ヒトの細胞より10倍も多い
微生物の遺伝子440万個とヒト遺伝子21000個が協力しながら
わたしたちの身体を動かしている

猿や犬、ラット、こうもりなど、 研究の成果がたくさん紹介されていて興味深いです
なかでも、漢方の生薬 冬中夏草と蟻の話は面白くて
キノコ菌類でしかない細菌に蟻がゾンビ化されて、エイリアンみたいになっちゃう

腸内細菌は、ヒトの性格や行動原理、今日どこに行くかや誰と会い、恋人を決めることにまで
影響してくるのだそうだ
もはや、わたしが決めるのではなく 細菌が決めるのである

ちょっと汚い話になりますが、動物園には糞便を食べる猿がいるそうです
野生ではいないそうです。これは精神科医やフロイト派なら
親との疎遠あるいは性的欲求不満で説明するのでしょうが
生理学的解釈ではもっと微生物寄りで、病んだ動物がマイクロバイオームの不具合を元に戻すため
糞便を食す
ディスバイオシス(腸内の正常な細菌構成が異常になる炎症)を正すための適応行動なのだそうです

うつ病、統合失調症などの精神障害に関しても、マイクロバイオームの不安定が一部原因である可能性も示唆されており、今後の研究が見逃せない

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