仮想通貨にとどまらないブロックチェーンの可能性と、その現状

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知っている人だけが勝つ 仮想通貨の新ルール (講談社+α新書)

2018年5月の発行で、コインチェック事件にも言及がある。
勉強になった部分を要約する。

◼️コインチェックの人気の理由◼️

2017年以降の仮想通貨ブームを牽引した人たちの中には、スマホは使えてもPCは使えないという人たちが一定数いたと言われている。
スマホのユーザーインターフェース(UI)にこだわったコインチェックは、こうした人たちの支持を受け、急成長した。
NEM流出事件の後、同社に損害賠償を求める訴訟で、利用者に参加を呼びかけた弁護士が「Wordのファイルをダウンロードして、必要事項を記入して」と伝えても、「使い方がわかりません」と答える人もいたという。
「コインチェック被害者の会」の中には、その段違いの使いやすさから、事件後もコインチェックを支持する人たちがいる。

◼️國光宏尚さんインタビュー◼️

第10章は、gumiの國光宏尚社長へのインタビュー。仮想通貨のこれからについて語る。

◾︎ブロックチェーン・ファースト

スマホでゲームができるようになった時に、最初はみんな、家庭用のゲームやPCのゲームをスマホで遊べるようにした。しかしこれは流行らず、最終的にはパズドラやモンストといった、スマホ独自のコンテンツが受け入れられた。スマホならではのUI(ユーザーインターフェース)やUX(ユーザーエクスペリエンス)を発明したところが勝ったのだ。(スマホ・ファースト)。
ブロックチェーンも、「ブロックチェーン・ファースト」でいくところが伸びると思う。
リップルという仮想通貨があるが、既存の国際送金システムのSWIFTでできることをブロックチェーンでやるのは意味がわからない。
ブロックチェーンでなくてはできないことってなんだろう。これを考えるべきだ。

◾︎THETA

國光氏が投資しているTHETAは、既存の動画配信サービスのような中央集権化されたサーバーなしに、動画配信を可能にしようとするプロジェクト。個人のPCや携帯電話の回線をシェアすることで、それを実現する。
個人のPCの余ったストレージをシェアするファイルコインというプロジェクトもある。

◾︎マイニングビジネスは一時的なもの

強力なバッシュパワーを持つ一部のマイナーがもうかる状況は、時代の徒花みたいなもの。(いずれは分散化していく。)

◼️ALIS◼️

ブロックチェーンを使ったソーシャルメディアの開発を進めているALISは、2017年秋に日本でいちはやくICOを実施した。2017年9月1日午前11時にトークンを売り出し、たった4分で1億円相当のイーサリアムを集めた。同社のマーケティング担当によると、この額は想定内だったという。
ALISが開発を進めているのは、信頼性の高い記事の集まるソーシャルメディア。ALISが発行するトークンの一部は、記事の執筆者や「いいね」を押す読者への報酬として分配される。トークンの分配は、執筆者にとっては多くの読者の評価を得る良い記事を書き、読者にとっては良い記事を見つけだす動機づけとなる。そして、ALISの企業価値が高まれば、執筆者と読者が受け取るトークンの価値も上昇する。
2018年4月に、試験運用を始めている。

ALISはICOを実施する上で、トークンを購入した人に対しては「9月末までの期間内に目標額に達しない場合には全額返還する」と宣言し、これをスマートコントラクトで実装した。このプログラムは、プログラムを共有するサイト(ギットハブ)で公開。プログラミング言語を理解できる人が見れば、「全額返還」に嘘がないことが分かるようにした。

感想

とても刺激的な内容で、わくわくしながら読み進んだ。
他の本でも触れられているような基本的な部分については、本稿では割愛した。個人的に興味深いと思った部分のみ、抜粋・要約した。

コインチェックがユーザーにとって使いやすいサービスを提供していたということは全く知らなかった。もしその評価が正しいならば、ゆくゆくは復活するのかもしれない。
また、國光さんがマイニングの寡占状態を、過渡的なものと指摘しているのも印象的だった。

タイトルに仮想通貨という言葉が使われているが、それよりも、ブロックチェーンの可能性について多く語られていると思った。ブロックチェーンの開発とは、非中央集権を目指す壮大な社会実験なのであり、私たちはその中にいるのだ。
(2019年5月5日読了)

知っている人だけが勝つ 仮想通貨の新ルール (講談社+α新書)

知っている人だけが勝つ 仮想通貨の新ルール (講談社+α新書)

  • 小島 寛明,ビジネスインサイダージャパン取材班

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