政治家の殺し方の書評・感想

3591viewsTaka@中小企業診断士(業務休止中)Taka@中小企業診断士(業務休止中)

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政治家の殺し方

地方自治体の首長と言えば、石原東京都知事、橋下大阪府知事や東国原元宮崎県知事などが真っ先に浮かび、ついで松沢元神奈川県知事とか森田千葉県知事とかかな…。
現職じゃない人を遡って挙げていけばもう少し名前はあがりますが、特別地方政治などに興味があるわけではない僕にしてみれば、いずれにしても知事クラスばかりです。
(普通はもう少し色々挙がるもんなんですかね…汗)

それでも、元横浜市長の中田宏さんについては何となく記憶にあります。
色々な意味で「元気のいい」市長さんだったように記憶しているのですが、そうですか、色々あったのですね。。。
なお、僕はそんな程度の知識でしたので、中田さんが帯にあるような「ハレンチ市長」と呼ばれていたり、訴訟を起こされたりしていたなんて本書を読むまで知りませんでした(汗)
ちなみに、訴訟に関しては、中田さんにかけられた嫌疑は事実無根であるとして中田さんが全面勝訴しているそうですが、そういうことは報道されないんですよね。。。

『政治家の殺し方』と一見ぶっそうなタイトルがつけられた本書は、まさに「殺された」中田さんが、地方政治に纏わる、一般人(有権者)には見えない部分を赤裸々に書き連ねている一冊でした。

細かいことは色々ありますが、大きな問題は、根深い「利権」問題ですね。
政治家に限ったことではないので、既得権益に手を出すと激しい抵抗にあうというのは経験的に分かる方も少なくないでしょう。
僕が中田さんのことを「元気のいい」という印象で記憶しているのも、ひとえにこの利権に手を突っ込んでいくように見えたからなのかもしれません。

当時、中田さんのスキャンダル疑惑に全くと言っていいほど関心のなかった僕にとっては、純粋に地方自治体首長経験者による、地方政治の暗部とマスメディア問題を描いたエッセイのような印象です。
もちろん、描かれているテーマはそんな軽いものじゃないのですけど、比較的すらすらと読めてしまいます。

ただ、そういう中立的な立場にある人ではなくて、(当時の)横浜市民の方々に、是非読んでいただきたいなと。
今更どうなるものでもありませんが、一度は大多数の方々の手で選んだ首長が、どのようなことをしてきたのかということを、時間が経ち、裁判で白黒着いた今だからこそ、冷静に思い返してみてはどうでしょうか。
もちろん、横浜市民以外の方々にとっても、地方政治の一面や報道の受け止め方を考えることのできる読み易い一冊になっています。

メディアを見ていると、政策論争よりも政局やスキャンダル報道に一斉に傾いていくのでうんざりしてしまいます。
その裏側にある意図まで考えて読み解くと、また違った見方ができるのかもしれませんが……、正直なところ、今の日本の政治に関しては、そこまでしようとは思えないのが残念です。
本書を読んで政治家を目指そうと思う人はあまりいないとは思いますが、それでも、やはり心のどこかでは、こういう志をもって、改革にまい進していく政治家の出現を願っています。

ちなみに、読み進めながら、中田さんより目立っている(利権に切り込んでいる)ように見える橋下大阪府知事はスキャンダルとか出てないのに…と思っていましたが、中田さん自身がこう書いていました。

「大阪府の橋下徹知事もメディアによく登場するが、私のような下半身スキャンダルや政治がらみの疑惑報道が少ない。
 私といったい何が違うのだろう?
 自分を小泉元首相や橋下知事と一緒にするほど自惚れてはいないが、自分を客観的に見て考えると、私は中途半端な存在だったのではないかと思う。小泉元首相や橋下知事は「出る杭は打たれても出る」という感じだし、もはや「出過ぎた杭は打たれない」という域にまで突き抜けるほどの存在になっている。(p.83)」

なるほど確かにそれは一理ありますね。
ビジネスパーソンの僕らも、出過ぎた杭になっていきたいものです。

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