平成世代のリアリティ

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平成くん、さようなら

舞台は安楽死が認められた、2018年の東京。
主人公の恋人である「平成くん」は脚本家、テレビのコメンテータなどさまざまな顔をもつ、超合理的な平成生まれの文化人。「安楽死しようと思う」と主人公に伝える彼に、主人公は戸惑いながらも向き合っていく。
生死をめぐって語られる、残されたものの悲しみや記憶、インターネット時代の「死」の形。
医療やテクノロジーが発展した現代にあっても、乗り越えられない生物的な問題、
自己決定の尊重が叫ばれる現代にあっても、けっして自分では選べない実の家族…
「Uber」「Googleホーム」などの固有名詞が並び、現代のテクノロジーを使いこなし都会で暮らす彼らを通して、現代を生きる若者の人生観や不安、幸せなど、普遍的なテーマを描いた小説。

感想

テクノロジーを使いこなす、都会的で現代的な暮らし。
合理的であることを第一と考える、ニュートラルな視点。
まさに「平成」という現代を体現したかのような「平成くん」を何よりも縛ったのは、
理性とは相反する生物的、感覚的な事実が突きつけるクリティカルな「痛み」だったのではないかと思う。

無駄を嫌い、合理的な思考を持つ彼も、テクノロジーでは解決できない問題を抱え、次第に主人公との他愛もない「無駄な時間」を愛していたことに気が付く。
そしてその「不条理」や「無駄」こそが、人間を形作る核となると思った。

無駄が削られ便利な生活にアクセスできるようになった現代では、効率化は機械にまかせておいて、選択肢の広がった生き方を、いかに自分の意志で選び取るかがより重要になっているのかもしれない。

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