花粉症はなぜ起こるのか。そしてなぜ増えているのか

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Newton(ニュートン) 2018年 03 月号 [雑誌]

「アレルギーの正体/花粉症は免疫系の暴走が生む」という記事を要約する。(Newton2018年3月号)

◼️なぜ花粉症は増えているのか◼️

増えるスギ林

スギが花粉を飛ばすピークの樹齢は、30年〜60年である。スギは戦後に大量に植林されており、樹齢50年前後となった現在も、多くの花粉を飛ばしている。スギは成長が早く加工がしやすい上、代わりになる木材がほとんどないことから、今もスギ林の面積は微増傾向にある。
花粉症の患者は1970年代から激増し、今ではおよそ3人に1人が花粉症にかかっているというデータがある。

大気汚染

ただの花粉よりも、都会の花粉が、花粉症の症状を悪化させるという報告がある。
その原因は、排ガスに含まれる「ディーゼル粉塵」である。マウスを用いた研究によると、ディーゼル粉塵を花粉と一緒に与えると、与えない場合に比べて、花粉症の症状をもたらす免疫細胞の数が7〜8倍に増えるという。ディーゼル粉塵および、そこに付着しているさまざまな化学物質が免疫細胞を活性化することで、アレルギー反応が起きやすくなっていると考えられる。

◼️アレルギー反応の仕組み◼️

寄生虫を排除するはたらきが「誤作動」

アレルギーは本来、寄生虫を排除しようとする免疫のはたらきである。
寄生虫はウィルスや細菌と比べて圧倒的に大きいため、食細胞(マクロファージや樹状細胞)による攻撃は効果がない。その代わりに、かゆみやくしゃみを起こすことによって、寄生虫を排除しようとする。
アレルギーは、こうした免疫システムが、ダニの死骸や花粉などに対して「誤作動」することによって起きてしまう。

肥満細胞とヒスタミン

体内に侵入した花粉は、樹状細胞と呼ばれる免疫細胞に取り込まれる。すると樹状細胞は、司令塔である「ヘルパーT細胞」に花粉成分の情報を伝える。ヘルパーT細胞はさらに、B細胞へと情報を伝える。するとB細胞はIgE抗体をつくり、これが肥満細胞(マスト細胞)の表面にくっつく。この状態を「感作」という。
ふたたび花粉の成分が体内に侵入すると、この花粉の成分は、肥満細胞表面のIgE抗体にくっつく。すると肥満細胞はヒスタミンなどの化学物質を分泌する。その刺激によって、鼻水が出たり、目が痒くなったりという症状が出る。
これまで花粉症ではなかったのに、ある日突然花粉症になったという人もいる。これは、毎年少しずつ花粉に反応するIgE抗体が体内で増えており、ある時に限界を超えることで、花粉症の症状があらわれるためだと考えられている。

腸の役割、免疫寛容、クロストリジウム菌

アレルギーの抑制において、近年の研究では「腸」が重要な役割を担っていると指摘されている。
腸には無数の腸内細菌がおり、これらと共存する上で、免疫を抑制する「免疫寛容」の仕組みが欠かせない。ここで重要な役割を果たすのが、「制御型T細胞」である。これは、ほかの細胞に働きかけ、腸管内での炎症やアレルギー反応を抑制する機能をもつ。
腸内細菌の一種「クロストリジウム菌」は、ナイーブT細胞が制御型T細胞に分化するのに必要な物質を放出していると考えられている。実際、アトピーの患者では、クロストリジウム菌の割合が減少していることが知られている。

◼️「免疫の暴走」という現代病◼️

免疫システムの暴走による疾患は、アレルギーだけではない。
代表的なものとして、全身性エリテマトーデス、バセドウ病、橋本病、重症筋無力症、円形脱毛症、多発性硬化症、1型糖尿病、関節リウマチがある。

感想

とても勉強になった。
これからの時代は、自己免疫疾患の患者の増加とともに、その理解が重要になっていくかもしれない。
(平成31年3月25日読了)

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