どうすれば明快・簡潔に書けるか。どんな文を書く人も知るべき、「伝え方」のスタンダードがわかる名著。

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理科系の作文技術(リフロー版) (中公新書) [kindle版]

この本が言いたいこと

  • 何が主張したいのかを明確にしろ
  • 事実と意見を分けて書け
  • 重点を先に、必然的な順序で
  • 不要なことばは一語でも削れ

1章 序章

本書で扱うのは

  • 他人に読んでもらうために書く
  • 事実や意見のみで心情的要素を含まない
「仕事の文書」の書き方。

2章 準備作業(立案)

一つの文書は一つの主題に集中すべき(「一文書一主題」)。
そのためには→自分が何を主張するためにその文章を書くのかを一つの文にまとめて書いてみる(「目標規定文」を書く)

3章 文章の組立て

目標規定文で定めた目標に収束するように文章全体の構想を練る。
そのためには→表題や書き出しの文を読めばその文章の最も重要なポイントがわかるようにするべき(「重点先行主義」)

叙述は、
①概観から細部へ
②機能別や性質別の分類の順に
③空間的または時間的な配列の順に
行う。

4章 パラグラフ

パラグラフは、頭につなぎの言葉がなくても、冒頭を読めばこらから書かれることと今までに書いてあったことの関連が自然にわかるように並べる。
そのためには→パラグラフの最初に、そこで何について何を言おうとするかを一口に、概論的に述べた文(トピック・センテンス)を書く。

※この原則を忠実に守り抜くことは努力がいる。

  • 理由① 先行するパラグラフとの<つなぎ>の文をトピック・センテンスより前に書かなければならないため
  • 理由② 日本語の文は、述語が文末に来、修飾句が前置されるという構造のため

5章 文の構造と文章の流れ

パラグラフ全体を読んではじめて内容や相互の連関がわかるようになっていてはいけない。1つ1つの文は、読者がそこまでに読んだことだけによって理解されるべき。
そのためには→話の本筋から外れたわき道でさらに枝分かれしてしまっているような文(逆茂木型の文)を書き直す
文を分割する、前に置かれた修飾節が修飾している言葉を前に出す、などの手法が役に立つ

6章 はっきり言い切る姿勢

日本人は表現をぼかして断言を避けたることが多いが、「仕事の文章」ではもっと明確に言い切る必要がある。
そのためには→特別な表現技術の勉強はいらない。<はっきり言い切る>ことを心得るべき。

「仕事の文書で事実なり意見なりを書くのはステートすることにほかならない.〔……〕ステートするときには当然,一句一句に責任が伴うのである.」(p. 100)

7章 事実と意見

事実を書いているのか、意見を書いているのかをいつも意識して、両者を明らかに区別して書く。そのためには→事実と意見とを峻別する鋭い感覚が前提となる事実の上に立って論理的にみちびきだした意見でなければならない

8章 わかりやすく簡潔な表現

  • 読み替えさずともわかるよう
  • 意地悪く読もうとしてもほかの意味にはとれないよう
  • 無用な部分を切り詰めて
書くべきである。

「必要ギリギリの要素は何々かを洗い出し,それだけを,切りつめた表現で書く.一語一語が欠くべからざる役割を負っていて,一語を削れば必要な情報がそれだけ不足になる──そういうふうに書くのが理科系の仕事の文書の書き方の理想だ.」(p. 133)

9章 執筆メモ

  • メモやノートのたぐいには最初に必ず年月日を入れる
  • 「この言葉はこういう意味に使ってもいいのかな」と少しとでも疑問を感じたら即座に辞書を開く
  • 原稿ができたら、いちど他人に呼んでもらうべき。読んでもらう人がみつからないときには、原稿をしばらく寝かせておいてから読み直す
  • 感想

    省略しましたが、10章には手紙等の書き方、11章には講演の仕方が説明されています。
    また、9章には単位や引用文献の書き方なども詳述されています。

    日本の教育課程で「どう書けば文章が伝わるか」を体系だって学ぶことはあまりありません。
    この本は、既に伝えるべき内容(何を書くか)が決まっている事柄について、相手に伝えるにはどう文章を構成すればよいか(いかに書くか)を明確に説明してくれます。
    文章の目標を立てるところから始まり、構成、段落、そして個々の文の書き方の細々した注意まで文章の書き方を1冊ですべてカバーしています。

    この本自体きわめて明快に書かれており、少し読むだけで筆者がこの内容を教える資格をもつことが感じ取れるかと思います。
    「理科系」の人に向けた題名になっていますが、心情的描写を含む文章を書く人や文系の人も知っておくべき文章表現のスタンダードとなりうる内容です。

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