AI将棋の進化を軸に、人工知能を明快に解説 「人工知能はどのようにして 『名人』を超えたのか?」

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人工知能はどのようにして 「名人」を超えたのか?―――最強の将棋AIポナンザの開発者が教える機械学習・深層学習・強化学習の本質

将棋の人工知能ソフト「ポナンザ」の開発者が、その技術向上の歩みを追いながら人工知能のメカニズムを分かりやすく伝える。

将棋の機械学習

  • コンピュータの本質は記憶と計算。将棋のような未知の局面が多いゲームでは、なかなか人間に勝てなかった。ではどうやって強くなった?
  • まず「探索」と「評価」を仕込ませた。ありうる状況を推測し、それに対して判断・目星を付ける行動のことで、人間なら誰でも無意識に行っている。だが、探索の基準となる項目(駒の価値など)の数が膨大になり挫折。「教師あり学習」の限界だった
  • そこで、コンピュータが自ら経験を元に項目を調整するようにした。これが革命的な「機械学習」
  • 将棋でAIが人間に勝つのが、チェスに比べなぜ遅れたか。将棋は局面ごとに何をすべきか、チェスに比べゴールを設定しにくいから。いくら計算が得意でも、ゴールを決めないと、そもそも何を計算すべきかわからないのだ

黒魔術化とディープラーニング

  • 機械学習により、いまや専門家でもAIがなぜそう判断するのか、何がAIの中で起きているのか説明がつかなくなっている。いわば「黒魔術化」
  • 機械学習の中で注目されるのが「ディープラーニング(深層学習)」。人間の神経網を模して作られたニューラルネットワークが前身で、ほんの10数年前まではなんら実績が出ない停滞した技術だった。が、06年ごろから階層をいくつも重ねる(=ディープ)ことで進歩が見え始めた
  • ディープラーニングが得意なのは「言葉」「音声」「画像」。だからAI翻訳や音声入力は格段に進歩している
  • 言語も画像とリンクさせて処理できれば、さらに進歩したものになるはず

囲碁と強化学習

  • なぜ人工知能は飛躍的に進歩したのか? 一つは人間側の認識の問題。技術は指数関数的に向上するため、追いつかれたと思ったらすぐ見えないほど先に行ってしまう
  • ポナンザも一時期壁にぶつかったが「強化学習」で切り抜けた。具体的には、実際に数手指してみて、その評価を自分で行わせる。上手くいったらそれを身に付ける=強化。すると過去の人間の将棋になかった新戦法を指すように進化した
  • プロの指し手という膨大なデータを元に基本を「教師あり」で学習し、続いて「強化学習」を行うことで進歩した。人工知能のオーソドックスな進化の仕方
  • 囲碁は将棋よりさらに目標設定が難しいゲームだったが、「アルファ碁」がついに人間を破る。その秘密はモンテカルロ法。ランダムに石を打ちその勝率を図る、という試行を膨大に行うことで、人工知能は指すべき手を見出していった
  • さらに、囲碁の石を画像として認識させることでディープラーニングが可能に。さらに「強化学習」を組み合わせ、アルファ碁の快挙に繋がる
  • 最近は人間がアルファ碁の指し手を真似し始めた。まるで人智を越えた神に出会ったかのような体験を棋士に与えたのだ。

倫理観と人工知能

  • 人工知能はまだ知性を持っていない。「知性」とは大きな目的を設計する能力。一方、設計した目的に向かって手段を探す能力が「知能」。人工知能はこの段階
  • 人工知能が知性を獲得するとしたら、複層のディープラーニングが連携された状態ではないか
  • 人工知能が「将棋で絶対人に負けない」と目標設定したとする。倫理観を持たない人工知能は、極端な話「人類を絶滅させれば、絶対人に負けることはない」と誤った結論を出す危険も
  • 人工知能は人間が作ったあらゆる情報を、偏見や差別・先入観も含めすべて取り込んでしまう。だから倫理観を人工知能に学んでもらうには、まず人間が正しい倫理観を意識する必要がある

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