人と人の「つながり」の形は変化している.現在のつながりの作法を身につける

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友だち幻想 ――人と人の〈つながり〉を考える (ちくま新書) [kindle版]

人はなぜ人と「つながる」のか

つながる意味

1)利益を得る
 「一緒にいると社会的利益が得られる(得する)」という目的に付随したつながり
2)感覚的なつながり
 一緒にいると,なんとなく楽しい(嬉しい).損得を超えたつながり

⇒1と2を明確に分けることは難しく,多くは部分的に重なっている

つながりが生むもの

1)自己充実:つながりの中で自分の能力を発揮する
2)他者との交流により感じる幸せ:一緒にいるだけで安心できる
3)他者からの承認:承認欲求を満たされる

4)脅威:物理的・精神的攻撃を受ける

⇒つながりには1~4が混在するため,軋轢や混乱を呼ぶ

「親しさを求める作法」が変化している

ムラ社会(古い時代)の人間関係

 人は一人では生きていられない
 生命を維持するための運命共同体として「皆同じ」であることを強要した
 同調圧力は相互扶助と共にあり,他者との直接的依存関係が強かった

現代の人間関係

 貨幣を介した間接的依存関係が世界規模で発達し
 都会に暮らす若者ほど一人でも生きられる(ように感じられる)
 人と人とのつながりによる相互扶助関係が表面上薄れ
 同調圧力が「不安から逃げるため」に「不安を共有する」方向に生じている

多くの人がもつ社会的性格の変化

1)伝統指向型:主体的判断や良心ではなく,外面的権威や恥の意識で行動を決める
2)内部指向型:自分の内面に判断基準をもち,それに従って行動を決める
3)他人指向型:自分の行動基準を他人との同調性に求める

⇒人の行動基準は,古くは1が主であったが,現在は3に移行している

現在,身につけるべき「親しさの作法」

 社会の変化に人間の感覚が追い付いていないため,不要な軋轢を生んでいる
 集団は“運命共同体”ではなくなった
 ⇒「皆同じ」でなければいけないという同質的共同性ではなく
  「気の合わない人と一緒に過ごす作法」を身に着ける必要がある

気の合わない人と一緒に過ごすための作法

1)やりすごす
2)適切な距離感が人によって違うことを知る
3)共存するための「ルール」を設ける

ルール共有関係

 従来の人間関係は「みんな同じノリで頑張ろう!」というフィーリング共有関係
 これを
 「互いに守るべき範囲を決めて平和に共存する」ルール共有関係に変化させる

ルールは「管理するため」ではなく「自由のため」に設ける

1)他者を管理するためにルールを定めてはいけない
 ⇒ルールは最低限に

2)「他者の安全を保障する」ことで「自身の安全も保障される」ことを知る
 ⇒自然の状態では自分の快適さしか考えない人が出てくる

3)人によってルールの感覚は違うことを知る
 ⇒ルールを守ることに抵抗のない人,強い抵抗を持つ人,喜びを感じる人など
  感じ方はそれぞれ.全員が共有できるルールを設ける

話せばわかるは幻想

どんなに親しく身近な人にも必ず「異質性」がある

 他者に「自分の気持ちを全て理解する」ことを求めるのは
 自分のことしか考えない傲慢な考え
 他者の異質性を受け入れる訓練をする必要がある

成長過程における親と子の他者性の変化

 赤ん坊として生まれた直後は親と子の他者性はゼロで始まる

 思春期に親の包摂指向と子の自立志向がぶつかる
 これを経ないと後々親子関係がこじれる
 思春期において親は子供を
 「自立に導き」ながら「ケア」する,正反対の行動を同時に行う必要がある

 そして,子供を他者として経済的・精神的に自立させる

感想

 著者は教育大学に勤める社会学者だそうで,本の後半は,教師や親が,子供に接する(指導する)ための実践的な手法の記述があります(本まとめでは大幅に削りました).とても読みやすい本ですので,興味のある方は是非原書をご参照ください.初版は2008年,順調に版を増やしているようです.
 全体を通じて感じたものは「社会性(他者との距離感)は教育を通じて身につけるもの」ということです.生まれ落ちる場所は選べないことを考えると厳しい現実でもありますが,それはそれで学びたいものでもあります.
 本書では使われている言葉の定義を始めに定めているケースが多いのですが,まとめるにあたり,多くを省いておりますし,言葉の混同などもあります.ご容赦の上,正確に内容をつかみたい方は,必ず原書をご確認ください.

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