まちづくりの実践者だから伝えられる、地方活性化のあるべき姿。

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稼ぐまちが地方を変える―誰も言わなかった10の鉄則 (NHK出版新書 460)

序章「学生社長ハゲる」

著者の活動の原点が述べられている。もともとまちづくりに興味がなかった著者が、あるきっかけで商店街の活性化事業に関わることになる。しかし最初に関わった活動は補助金が入ったことでかえって失速し、自らが社長になった事業は甘い見通しが原因で挫折した。これらの経験から、著者はまちづくりを行う上での重要な教訓を得た。

第1章「まちから『利益』を生み出そう!」

まちづくりのキーパーソンは当地の不動産オーナーであると述べている。著者はまちづくりの活動からいったん離れ、大学院で経営学を専攻することにした。アメリカに調査に出向いた際、地域再生の主役は民間であり、不動産オーナーであるということを知る。すなわち自分たちの資産価値を守るために地域に投資し、回収するという手法である。それは冷徹な経済論理に貫かれているものの、結果的に地域が自立する原動力になっている。
著者はまちづくりは「経営」であると考えるようになり、再び、まちづくりの世界へ戻ることを決意する。熊本で関わった事業では、まず不動産オーナーたちのコストを削減し、捻出した資金をリノベーションに充てるという手法を考案。これが成功を収める。行政に頼りがちなまちづくりは、不動産オーナーが当事者意識をもって取り組むべきだと著者は確信を強める。

第2章「まちづくりを成功させる『10の鉄則』」

著者によると地域活性化とは「事業を通じて経済を動かし、まちに新たな利益を生み出すこと。」である。その成功法則を、実例を踏まえながら紹介している。大事なポイントは①覚悟を決めたメンバーで②事業の方向性をしっかり定め③小さくスタートし④確実に利益を出し続けること、である。また、お金に関しては厳格であるべきで、補助金などの外部調達に頼らず、利益の分配もルールを決めておくことも重要だと指摘する。

第3章「自立した『民』がまちを変える」

新たな時代の公民連携によるまちづくりを提言している。著者は岩手県などでの事例をあげながら、民間の挑戦を、行政がハード面やソフト面でサポートするのが理想だとしている。もちろん、そこでも前章の「10の鉄則」が重要となる。また、民間は実行者であるだけでは不十分で、その成果を検証し、他の地域にノウハウを伝えていくことも重要であると指摘する。民間に「高い公共意識」が、行政に「高い経営意識」が備わったとき、あらゆる課題が解決可能になるという。

感想

私も地域おこしのボランティア団体に所属しているが、稼ぐ(金銭面で自立する)という視点は非常に重要であると感じた。なぜなら活動を継続し、後に引き継ぐためには必要だからだ。行政や補助金に頼りがちな地域おこし活動に一石を投じた本であった。ただ、ろくに不動産がないような過疎地域では、著者の実践例を応用する(建物ではなく農地を活用するなど)必要はあると思う。

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