彼らはまだ「社会的に」「産まれておらず」、生き辛さを抱えている

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ルポ 中年童貞 (幻冬舎新書) [kindle版]

初版2015年

中年童貞の定義

 ある程度の年(30代)になるまでに、視点や価値観の違う他者(異性)との間に信頼関係を築き、体を委ねられ(セックスには大なり小なり病気や怪我の危険が伴う)、受けとめた経験のない男性
 素人童貞も含まれる

【仮説】中年童貞はあらゆる社会問題につながっているのではないか?

 上記を前提に、アニメオタク、アイドルオタク、介護職員、ネット右翼等にインタビュー

中年童貞は「低学歴」と「高学歴」に大別される

低学歴の中年童貞は
 成功体験に乏しく、自身を客観的に振り返るのが苦手で、精神年齢が幼い。受け身で流されがち

高学歴の中年童貞は
 社会的に成功している同級生が多く、自傷に走る傾向がある。学歴しか価値基準のない人もいる

中年童貞の特徴

・恋愛に対して潔癖で硬派
 完璧な恋愛をしたい(⇒処女信仰につながる)
 自身の純粋さがリア充に勝てる唯一のものだと考えている
 女性を神格化し、自身の性欲で女性を汚したくない

・正義感が強く、真面目。コミュニケーション能力が低く、融通が利かない
 人間関係での成功体験が少なく、孤立しがち

・女性に対する感情
 生物として息をしたり毛穴がある女性が気持ち悪い
 他の男性と比べられるのが怖い、馬鹿にされている気がして怖い

・成長過程にできた心の穴
 幼少期~中高時代に
 モテないこと現実からの逃避や、いじめ、親の過干渉や暴言によって
 自己嫌悪や歪んだ自己肯定感、肥大した自己愛を身に着け、心に穴が開いている

 心の隙間を埋める商材(アニメ、アイドル等)や
 活動(介護、ネット右翼,宗教,同性愛等)に依存し
 悪循環に陥って、社会的に孤立しているケースも多い

・母親の過干渉(毒親の存在)
 女性は人(子供や男性)をケアする立場に回らねばならないため
 自立が社会的に強要され、親による人格否定に20~30代で気付くことが多い
 しかし、男性は(下手したら一生)ケアされる立場のため
 自分が周りの人間にフォローされていることすら気づかないことも多い

童貞処女を卒業するための学校がある

一般社団法人 ホワイトバンズ『ヴァージン・アカデミア』

性に対する社会的意識の変化により、中年童貞は社会に取り残された
性の自立と社会的自立はつながっている

性的に自立したいのならば、不特定多数の異性にモテる必要はない

「たった一人のパートナーと信頼できる人間関係を築く」ことを目指す学校

恋愛は互いの完璧さを競うレースではない

 女性が、強者に見えるコミュニケーション能力が高い男性に引かれるのは
 女性も自分に自信がないから
 自分を受け入れてくれそうな(偽りでも)安心感を与えてくれる男性がモテる
 硬派な中年童貞は隙がなく、安心感を得にくい

 「完璧」を目指すのではなく、「相補間型」の人間関係の構築を目指す

中年童貞を救うのは

1)父親的存在
 団塊の世代は甘やかされて育ち、父親になる能力が乏しかった
 愛情を持って叱り、導いてくれる存在が、社会に必要

2)マザコンからの脱却
3)自立
 心の隙間を埋めるようなコンテンツからは距離を取り
 自分の特技が生かせる場所で
 他者に心を開く練習をする(まずは友達づくりから)

感想

 著者がはじめ掲載したルポは炎上したらしいです。全体を読むと、リア充からみた驚愕はあちこちにつづられておりますが、童貞を嘲笑する本ではありませんでした。もちろん、自身の意志で童貞を貫いている方を論うものでもありません。価値観は人それぞれです。必要な方の参考になれば幸いです。詳細を知りたい方は原書をお読みください。
 また、中年処女に関する記述もありましたが、少しなので割愛しました(中年処女は社会的軋轢を生むことは少なく、精神的に引きこもっている傾向がある そうです)。興味のある方は本書か、AV監督二村ヒトシさんの著書を読むとよいかもしれません(本書にも二村さんとの対談が少し掲載されております)。
 毒親議論がありますが、母親が過干渉になるのは、突き詰めれば問題は「女性が家庭に閉じ込められる社会構造にある」という結論になっております。くれぐれもご注意ください。

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