芥川龍之介独特の解釈で書かれた「日本人論」

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神神の微笑 (青空文庫POD(シニア版))

 主人公は、布教のため来日して数十年になる宣教師パドレ・オルガンティーノ。

 夕暮れ時、京都・南蛮寺の庭に生える様々な樹木を眺めながら、オルガンティーノは一抹の不安を覚える。それは、この国の山川草木すべのものに名状しがたい「霊気」が宿っていると感じたからだ。我らが「でうす如来」は、この「霊気」に打ち克つことができるのだろうか?

 慄くオルガンティーノは、矢も楯もたまらず「でうす如来」に夕暮れの祈祷を捧げ、自身への加護を求める。

 しかし、その瞬間、彼の目の前に異様な光景が繰り広げられることに。
 な、なんと、それは記紀神話「岩戸」の荘厳なる場面だった・・・・・・。

感想

 『今昔物語』や『宇治拾遺物語』といった古典から題材をとった短編の多い芥川龍之介。

 この作品は『古事記』『日本書紀』から着想を得て書かれたもので、ストーリーは或る宣教師が記紀神話に登場する神から「外来文化を礎に独自の文化を創りあげる日本人の特性」を学ぶという展開になっている。

 いわゆる「切支丹物」の一つで、「おぎん」と併せて読むことをお薦めしたい。

 それにしても、この作品は著者が若干三十歳のとき書かれたものだ。
 その完成度の高さに、唯々驚嘆せざるを得ない。

 

 

 

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