大藪春彦の記念すべき長編処女作!

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血の罠 (光文社文庫)

 主人公は汚職で警視庁を追われた悪徳刑事、新田。

 舞台は、三つの暴力団(村井組、安田組、斎藤組)が熾烈な勢力争いを繰り広げる街「高杉市」。

 組の弱体化に危機感を募らせた斎藤組組長が新田に相談を持ちかけたことで、街はアナーキーな戦場と化していく。

 新田が途上で呟く。
「望みどおりこの街を殺戮の回り舞台にしてやったよ。さあ、この収穫を存分に喰らいな」と。

 さらに、元プロボクサー・田島君彦の暴力的復讐心を狡猾に操ることで、血で血を洗う抗争を激化させていく新田。

 最後に嗤う者は、誰なのか!?
 

感想

 ヒーローが愛する女のために復讐を果たそうとするほど自分が裏切り続けられてしまうというストーリーを、ダシール・ハメット『血の収穫』型の暴力小説に上手くはめ込んだ作品だろう。

 その空想性と反市民性においてミステリーの本流から忌避されていた「屍山血河」型の小説を、亜流から本流に押し上げた傑作長編とも言える。

 是非とも手に取って、著者のハードボイルド小説に対する迸る情熱を感じ取ってほしい!

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