中島敦『文字禍』 そもそも、文字とは何なのか?

3514viewsりすんりすん

このエントリーをはてなブックマークに追加
中島敦 (ちくま日本文学 12)

毎夜、図書館でひそひそと怪しい声がしている。
治世第二十年目のアシュル・バニ・アパル大王は、碩学ナブ・アヘ・エリバ博士に事の真相をについて調べるように命じる。

文字の霊はいるのだろうか? 碩学ナブ・アヘ・エリバ博士は考え始める。
ナブ・アヘ・エリバ博士は、文字を見ていると、ゲシュタルト崩壊が起きて、文字の霊というものがいると認める。
博士は、街中で最近文字を覚えた人に声をかけて、文字を知る以前に比べ、何か変わったことがあるかを訪ねまわった。そして、文字についての害を証明する。博士は、文字とは物の魂の影ではないかと考える。
博士は、知り合いの書物狂の老人について考える。老人は、文字の霊の犠牲者であった。
アシュル・バニ・アパル大王が、病に罹ったとき、青年の一部が不合理な医師の行動に不信の目を向ける。それを目の当たりにし、博士は青年が合理主義に落ちていくのは、文字の霊がそうさせたんだと思う。
ある日、若い歴史家(あるいは宮廷の記録係)のイシュデイ・ナブが博士に文字の正体とは何かを質問する。
博士は懸命に説くが、話し終わったとき、文字の霊の威力を賛美している自分を省みて、文字の霊にたぶらかされていることを知る。
博士は、文字の霊の研究を続けていることへの生命の危機を感じるようになる。怖くなり、研究報告を纏め上げ、アシュル・バニ・アパル大王に献じた。大王はこれをみて機嫌を悪くする。博士は即日謹慎になる。
その数日後に、大地震によって、自家の書庫の中で圧死した。

そもそも文字とは何なのか、作者・中島敦の内面から考える鋭く、冷静な考察が冴えわたっている。

感想

他の作品もサイトにて公開。
https://blog.saitalk.com/entry/2019/01/17/123510

関連まとめ

本のまとめカテゴリー


コメントを書く