テレオモルフがしばしばキノコとして捉えられ、アナモルフがしばしばカビして捉えられる。

5462viewsrihitorihito

このエントリーをはてなブックマークに追加
カビ図鑑―野外で探す微生物の不思議

アナモルフとテレオモルフ

1つの菌が、有性生殖時代と無菌生殖時代とで別な二種の菌だと認識されてしまう事もある。
無性生殖によって生活している姿をアナモルフといい、不完全菌類に分類される。有性生殖によって生活する姿をテレオモルフといい、子嚢菌類や担子菌類に分類される。つまり観察しているライフサイクルのステージによって、分類も変わり、テレオモルフがしばしばキノコとして捉えられ、アナモルフがしばしばカビして捉えられる。

サビキンの特徴

サビキンは生きた植物にしか寄生できない絶対寄生菌である。サビキンの中には2種の異なる宿主植物の間を行ったり来たりするものがいる。これを異種寄生性と言う。
サビキンのもう一つの特徴は、1種類の菌が複数の胞子を作ることである。形態的に異なるばかりではなく、機能も異なる5種類の胞子(精子、さび胞子、夏胞子、冬胞子、担子胞子)を作るのが基本。

フランスのルーアン地方で1660年にセイヨウメギを伐採して駆除せよと言う法令が出された。それは農民たちの間で、ムギのある病気がセイヨウメギによって起こされていると信じられていたからである。これは学問的には正しくないが、疫学的には当たっている面がある。つまり、ムギ黒サビ病菌がムギとセイヨウメギの両者の間を行き来して生活することを農民が経験的に感づいていたのだ。

毒性対象物が蓄積される不思議

麦角と呼ばれるものは、菌類が作る硬い黒色の爪や角のような形のもので、越冬のための構造と考えられている。麦角を作る菌はバッカクキンといわれるが、1種類だけではなく、複数の菌が含まれる。面白いことに、麦角が入っていても、宿主に害はなく、植物を食べる動物には害がある。そのため、これらの植物は動物から食べられずに残ることになる。つまり、麦角菌は植物とは共生関係にあると言える。

クロボキンの巧みな利用法

マコモの幼芽あるいは腋芽がクロボキンの一種ウスティラゴ・エスクレンタに感染すると、茎が肥大成長し、やがて内部に胞子が作られる。ところが、人間はこの肥大した茎の部分を通称「マコモタケ」と呼び、意外な方法で利用する。
利用法の1つが、中国料理の食材である。胞子ができる前の肥大したマコモの茎の皮を剥ぎ、炒めるなどして食べる。たけのこに似た食感があり、おいしい。
他に、内部に胞子が作られた茎を乾燥させ、胞子を取り出し、鎌倉彫の染料として利用する。取り出した黒穂胞子をマコモズミと呼んでいる。

カビ図鑑―野外で探す微生物の不思議

カビ図鑑―野外で探す微生物の不思議

  • 細矢 剛,勝本 謙,出川 洋介,伊沢 正名

関連まとめ

本のまとめカテゴリー


コメントを書く