「プロ」の執筆家になるための心構えを説いた指南書!アートを書く!クリティカル文章術

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アートを書く!クリティカル文章術 (Next Creator Book)

はじめに

芸術作品(音楽、美術、映画)の批評家を志す入門者たちに向けて、「プロ」の執筆家になるための心構えを説いた指南書です。

自分の書いた批評が芸術家の芸術家生命を左右するかもしれない、その責任の中で、何をどう書いていくのが「プロ」なのか、「美術」「音楽」「映画」の各ジャンルを代表する批評家が論じています。

最初の三章 - 添削例が参考になる

美術批評家の暮沢剛巳氏、音楽批評家の前島秀国氏、映画評論家の杉原賢彦氏がそれぞれ1章ずつを受け持ち、それぞれの末尾に添削例が2例ずつ掲載されるという構成になっています。その「添削例」を見ると、どのジャンルであれ基本は同じだということがよくわかります。

たとえば、6つの添削例から共通して浮かび上がってくるテーマに、「根拠をしっかり説明する」という点が挙げられます。

添削例には、「実例を挙げてほしい」「それは具体的にはなんなのか」といった指摘が並びます。

つまり、「観客をこのような気持ちにさせる」「この部分がよい」とだた述べるだけでは不十分で、作品の「何が」そのような感情を呼び起こすのか、その部分が「どのように」よかったのか、を解き明かすことこそが批評家の仕事だ、というわけです。

あとは、安易な言葉に頼らないこと。抽象的な言葉や定義が定まっていない言葉、不正確な用語などは避けるというのも、どのジャンルにも当てはまる重要なポイントです。添削例を読むと、ちょっとした単語の意味の違いや使い方に、プロの批評家が驚くほど敏感であることがわかります。

最終章 - 代表的批評家の紹介

私が個人的に一番ためになったのは、「代表的批評家」16人を紹介する最終章。言ってみれば、批評についての手引書を執筆するほどのプロの批評家が、各批評家について評論しているわけです。人物批評のお手本のような文章で、「なるほど、具体的に説明するとはこういうことか」と、「添削例」の指摘が腑に落ちます。

この章を読むと、一口に批評家といっても、本当に色んなスタイルがあるんだということがよくわかります。美術作品を「描く」側でなく「鑑賞する」側に焦点をあてた批評や、専門用語を一切使わず、身近な出来事から話を始める批評など、難解な文章に慣れていない人でもとっつきやすいものがいろいろ出ているようです。

私はクラシックにも美術にもまったく詳しくはありません。それでも、この最終章で紹介されている吉田秀和氏の音楽評やアメリア・アレナス氏の美術評を「読んでみたい」と感じました。「自分が読んでみたいと感じる文章はどのようなものか」と分析しながら最終章を読み進めると、かなり勉強になる気がします。

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