海外ミステリーの枠を咀嚼して生み出された国産長編ミステリーの傑作!

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私が殺した少女 (ハヤカワ文庫JA)

 主人公は中年私立探偵、沢崎。

 夏の初めの昼下がり、西新宿のはずれにある自分の事務所を出て、愛車ブルーバードで豊島区目白にある依頼人の邸宅へ向かう。
 

 依頼人は、作家の真壁脩(おさむ)。誘拐事件に巻き込まれた娘、清香(さやか)の行方を教えてほしいと哀願される。そして、真壁は磨りガラスのドアの向こうへ立ち去ってしまう。玄関に六千万円の現金が入っているレンガ色のスーツケースと沢崎だけを残して・・・・・・。

 その直後、通報で駆け付けた刑事に清香誘拐の共犯の容疑で逮捕される沢崎。目白署に連行される沢崎の脇腹に頭突きを食わらせてきた清香の兄、慶彦。

 訳も分からず、署の留置場に放り込まれてしまった沢崎は、自分が思いもかけぬ誘拐事件に巻き込まれていることを知るのだった・・・・・・。

感想

 レイモンド・・チャンドラーへの憧れから、西新宿の雑居ビルに事務所を構える中年私立探偵・沢崎を主人公としたハードボイルド小説を書き始めた作家。それが、原尞だ。

 大学卒業後、ジャズピアニストになることを夢見て上京したものの、なかなか芽が出ず、鬱屈した長い日々を過ごした彼が四十を越えて発表した作品が本作だが、読書界に与えた衝撃は凄まじく、一気に直木賞を受賞することになる。

 とにかく、海外ミステリーの枠を咀嚼して生み出された、原尞の国産長編ミステリーの傑作に浸ってみてほしい。

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