人間とは何か。なぜ、人間は絶望してしまうのか、に比較認知科学からせまる!

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想像するちから――チンパンジーが教えてくれた人間の心

人間とそれ以外の動物を比較して、人間の心の進化的な起源をさぐるという比較認知科学。その開拓者である著者が自らの深く関与した研究を素材にして、「人間とは何か」という深淵な問いにせまろうとしたのが本書でした。著者は京都大学教授の松沢哲郎氏。2016年3月に京都大学霊長類研究所を退職されたのがニュースとなりました。

私自身はチンパンジーも人と同様に落ち込んだり、何かに絶望したり、自責感に苛まれたりするのだろうか、と疑問をもち、本書を手に取りました。

結論から言えば「チンパンジーは絶望しない」ということでした。
「チンパンジーは、『今、ここの世界』に生きている。だからこそ、瞬間に呈示された目の前の数字を記憶することがとても上手だ。しかし、人間のように、百年先のことを考えたり、百年昔のことに思いを馳せたり、地球の裏側に住んでいる人に心を寄せるというようなことはけっしてしない」「今ここの世界を生きているから、チンパンジーは絶望しない。『自分はどうなってしまうんだろう』とは考えない。たぶん、明日のことさえ思い煩ってはいないようだ」

ではなぜ人間は絶望するのか。本書では比較認知科学の視点からの捉え方が述べられています。つまり絶望、というと私たちはそれを悪いもののように捉えがちですが、それは希望をもつことと表裏一体ではないか、というのです。

「それに対して人間は容易に絶望してしまう。でも、絶望するのと同じ能力、その未来を想像するという能力があるから、人間は希望をもてる。どんな過酷な状況のなかでも、希望をもてる」「人間とは何か。それは想像するちから。想像するちからを駆使して、希望をもてるのが人間だと思う」

感想

ゲノム解析では、チンパンジーのDNAの塩基の並び方でいうと、98.8%まで人間と同じだったそうです。意外にもアカゲザルとの違いは約6.5%あり、三者で比べると人間とチンパンジーがよく似ていて、サルが違う生き物となるといいます。人間とは違うが、人間とよく似ているチンパンジーを通して、心の起源を探る、とても刺激的な本でした。

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