「モテ」る = 他者との関係性において優位に立つ

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モテたい理由 男の受難・女の業 (講談社現代新書) [kindle版]

2007年出版。女性誌ウォッチャーを自称する著者が語る「モテ」が社会に必要とされる訳

何故「モテ」が必要とされるようになったのか

(1)戦争という男の価値を発揮する場の喪失(男性社会の行き詰まり)

戦後、日本は戦争から目をそらし
・経済戦争
・受験戦争
・就職戦線
など、代理戦争をひた走り、目的を見失ってしまった

疑似戦争により男性社会化した組織や企業が、新たなフロンティアとして見出したのが

男性社会の自然的マイノリティである『女性』と
     自発的マイノリティである『オタク』であった。

大きな売上を見込めない反面、動向が掴みやすく、人生を通じて長く収益が見込める『女性』が新たな市場として採用された

※女性の多くは基本的に横並びを好み、他者から「少しだけ抜きんでる」ことを望むため
 生涯を通じて(結婚式、習い事、子供の教育etc......)収益が見込める
 (人生における不安も商売の好機)
 また、女性は横並びを好むため
 一度一般化すると(皆が持っている状態になる)と爆発的な売り上げが見込める

(2)社会が不安定化し、女性の持つ特性が優位に

一定の性能を、継続して提供できる男性は、工業化社会において有利であった
しかし
社会が不安定化して、変化に強い(人生のライフステージ、一月の間でも体調が変動する)女性が有利な時代になった

(3)「モテ」とビジネスの親和性

人は他者からの承認を得たい生き物

「モテ」とは、他者(特に異性との)関係性において優位に立つこと であり
自身を高レートで売り抜くこと

ビジネスとの親和性が極めて高く、既存社会(男性)とフロンティア(女性)、両者からの収益が見込める「モテ」は、一大市場に成長した

男性と女性の受難の時代

女性が捕まる、ライフスタイルという魔物

ライフスタイル:人生を時間軸で見通し、どの局面においても自分らしさを表現し
        他者にそれを認めてもらう

男性は自身の努力により得たものを尊び
女性は他者により与えられたもの(育ちの良さなど)を尊ぶ傾向がある

それを利用し、「全てを得た(家柄、学歴、ブランドものetc......)者が素晴らしい」と煽る
そこに多様性は存在せず、女性が感じる不安すら「商機」と見なされる

また
ライフスタイルを「自分で語る」ことが求められ、不定形な感情が認知しにくくなっている
理性や合理性を求めるあまり、女性の男性化が進んでいる

男性に求められるダブルスタンダード

『女性』の時代とはいえ、男性は男性社会を女性に渡したくない
女性に男性化(男性社会に合わせること)を求めてきた

その結果、女性は(結婚などによって)男性を自分に有利に利用しようと「モテ」テクを磨き、先鋭化してきた

そして、男性に従来求められた
・金をかせぐ  という能力の他に

・他者との関係性が高い(状況調整能力や共感性が高い)
 という女性的な能力が強いられるようになってきた

その結果、若い男性の格闘系(DQN含む)とオタク の二極化が進んでいる

現在のマスメディアは包囲戦

現在、雑誌などで展開される商業の多くは
皆(消費者)を包囲して、少しずつ圧迫する、消耗戦に陥っている

その結果、抵抗する気力を失くし、社会から離脱する若者が増えている

感想

 著者のような視点は持ち合わせていなかった為、とても興味深く読めました。10年以上前、リーマンショック以前の書とは思えないものでした。
 内容が濃く、正確にまとめきれている自信がありませんので、興味のある方は原書をお読みいただければと思います。
 著者は1960年代生まれ。まだ終戦後の匂いが(当然、平成が終わりそうな今よりは)色濃い時期に多感な時代を過ごされており、私では感覚的に理解できなかった多くのことを記してくださっており、とてもよい勉強になりました。
 著者は、現在社会にこのような「ねじれ」が生じているのは、戦争(敗戦)から目を背け続けてきたから と述べており、直感的にそれは事実なのだろうと感じました。

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