ヒロインは私だけだから

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週末は彼女たちのもの (幻冬舎文庫)

哀しい恋。
島本理生と聞くと、不思議と浮かぶのはその言葉。
あまりにうつくしく、あまりに残酷な。
《哀しい》のひと言では片付けたくないという想いと、
この言葉に託す想いの強さが拮抗する。
ガラスで出来たシーソーで遊ぶような物語、
それが島本理生の描く恋のお話だ。

週末は誰のものでもない、
彼女たちだけのもの。

その彼女たちに、
私は、貴方は、含まれているだろうか。
その答えは物語の終幕、
彼女たちのように涼やかで晴れた笑顔を
大切に思う人に見せられるのかどうかだ。

真面目な優等生だった彼女は、
いつも誰かを見下していたのかもしれない。
そうした人がたどるはずだった道に、
うっかり自分が堕ちていた。

彼女は堕ちてしまった、そう思うだろうか。
かけがえのない宝物とひきかえにしたのは
それほど大事なものだった?

美しいあの人は、愛することを理解してたのかしら。
恋に恋して、その人の顔がいつからか
見えなくなっていた?
美しい私のとなりにいるひと、
それは貴方の愛した人ですか?

想うことから目を逸らさないで。

裏切られて、逃げたあの子は泣いていた?
いいえ、踏ん張りすぎて、
食いしばった唇からは血が流れていた。

痛みを知ったからこそ、抱ける傷がある。
その温もりが、誰かから誰かを奪ったとしても
その人の傷は癒えていく。

三者三様の生き様のなかで、
だれも無い物ねだりをしない。

それも島本理生の描く女性たちが輝く秘密かもしれない。
たった一つの理由を抱いていられれば、
きっと私たちは強くいられる。
たとえ、そばに貴方がいなくても。

これから恋を始める人には、
ほんのすこし冷たいかもしれない。

恋に愛されている人には
きっと必要がない物語。

過ぎた恋に溺れる貴方は
強さをもらいに行こう。

許されない思いを抱くなら、
本物を一緒に探そう。

まだ見ぬ不安、襲いかかる不安、
闇が怖いならここへおいで。
ここに来れば、週末はちゃんと手に入る。
とても美しい週末が。

感想

恋愛小説は嫌いだ。恋愛自体が嫌いだ。でもこの人の物語は好きだ。恋じゃない、生き方だから。そう思わせてくれるのは、美しい言葉と相反する物語の残酷さ。どうでもいいなら誰かに恋したりなんてしない、それでも傷つくからやってられない。そんなときこと、読むといい本。

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