空気を読むとは?しがらみとは?読めば世の中の見方が変わる

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「しがらみ」を科学する: 高校生からの社会心理学入門 (ちくまプリマー新書)

「社会に出るのが何となく不安だ!」と思っている高校生や大学生に向けて、「社会」を理解する道筋について書いた本でした。特に「社会(しがらみ)を読み取る力」には個人差がある、ということが本書の前提になっています。

『「空気」や「しがらみ」をうまく読み取って、「社会」を楽々と渡っていくことが不得意な人たちもたくさんいます。そうした人たちはただでさえ苦労しているのに、「共感性」がないということで、まわりから人間的に劣っていると決めつけられ、ますます大変な目にあっています。

世の中には背の高い人もいれば低い人もいる。運動が得意な人もいれば苦手な人もいる。それと同じように、まわりの空気を読むのが得意な人もいれば苦手な人もいる。だけど、運動が苦手な人が道徳的に劣った人間だと決めつけられることはないのに、まわりのひとの気持ちを読むのが苦手な人は、劣った人間だと決めつれられてしまうんですね。ちょっぴりひどいと思いませんか?』

本書ではこうした問題意識のもと、社会を理解する道筋を示すことを目指します。

まず第1章では、社会について考える時に気をつけないといけない落とし穴について解説されています。私たちは「なぜ離婚率が増えたのか?」とたずねられると、まず離婚率が減少したという社会現象を、自動的に、「人々が離婚したがらなくなった」というふうに置き換えてしまう。つまり、社会現象を一人ひとりの考え方や気持ちの変化に置き換えて、しかもそう変換したことに気づかないことが多いといいます。著者はこの、原因を一人ひとりの心に求める直感的理解を「心でっかち」な考え方と呼び、そうなりやすいことに注意が必要だとしています。これは言い換えればもっと全体に目を向けないといけない、ということです。

第2章では、社会を理解するためにもう1つ大切なこと、つまり社会とは、外から私たちに襲いかかってくる化け物なんかじゃなくて、私たち自身が作り上げているものなんだということを説明しています。本書ではその一例として「予言の自己実現」が取り上げられています。

『白人労働者が黒人は労働者の敵だと考えて、労働組合への黒人労働者の参加を拒否するせいで、黒人労働者はストライキ破りとか、低賃金の日雇いの仕事にしかつけなくなってしまう。そしてその結果、黒人達は実際にストライキ破りに雇われたり、低い賃金で働くことになって、黒人は労働運動の敵だという白人労働者の思い込みが本当になってしまう。これが、マートンさんが言っている予言の自己実現なんだ。・・つまり、「社会」というのは、そこで生きている人にとって、あるしかたで行動せざるをえないようにしているものなんだよ。・・こういう状態を表現するためのいい言葉はなかなか見つからないね。日本語だと「しがらみ」って言葉が一番近いんだと思う。だから「社会」とは「しがらみ」の集まりだと言ってもいい。もう少し正確に言うと、人々に一定のしかたで行動するようにうながしている「しがらみ」が、そうした人たちの行動そのものによって生み出されている状態が「社会」なんだよ』

第3章ではさらに「社会」であるできごとを理解するためには、単純な原因ー結果という考え方からいったん離れて考えてみる必要があると指摘されます。

第4章ではほかの人たちの気持ちになって考え、まわりの人たちとうまくやっていける人はいいけど、そうできない人は、理論を使ってほかの人たちの行動や社会を理解すればいいんだよ、ということが主張されます。

感想

昼食を食べにお店に入って注文すると、カレーが目の前に出てくるけど、これも「食べてお金払う」ってしがらみがあるから成り立つことなんですね。なんか、そう考えるとカレー1つとっても凄いことのように思えてきました。

著者は山岸俊男、社会心理学研究で著名な先生です。

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