ちょっと待った!先延ばし!

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大人のADHDの認知行動療法<本人のためのワークブック>

本書は大人のADHDの認知行動療法、本人のためのワークブックです。

習うより慣れましょうー。
と本書にあるように、同じことを何度も繰り返し学習できるよう作られています。1週間に1回、毎回1章ずつ、計14章を修了する構成ですが、各章の最初は、必ず前章までの復習から始まります。また、症状のチェックリスト(自己評価と家族評価)を用いて、ターゲットとする症状を見つけたり、その変化を追うことも繰り返し勧められます。

『薬物治療を受けている人の問題として、最も話題にあがったのは、①順序立てと計画性、②注意散漫、③不安と抑うつに関すること、でした。その他には、先延ばしの問題、怒りのコントロール、コミュニケーションの問題があがりました』とあり、本書では①〜③への対処を順に学びます。一回に一つのスキルに絞ってあり、ゆえに人によっては先のセッションでしか取り上げられない問題に悩んでいる可能性もあることが本治療法の欠点、とも述べられています。

①順序立てと計画性では、カレンダーとノート(やることリスト)を活用します。さらに重要度に応じて課題の優先順位をつけることを学びます。

②注意の散漫さを減らすでは、集中できる時間を測定し、その時間で課題が終わるように細かく課題を分ける練習をします。また、集中できる時間より少しだけ長くタイマーをセットし、課題に取り組む注意持続訓練も行います。頭に浮かんでくる「魅力的な行動」をしない練習です。「魅力的な行動」はノートに書き留め、あとで本当にすべき重要なことか吟味する時間を持つようにします。さらに、注意がそれることなく重要な課題を行える、きれいな場所を見つける環境調整もします。

この章で個人的に面白かったのは「リマインダーの使用」です。パソコン、テレビ、窓、冷蔵庫といった、注意が逸れやすいものに丸いシールを貼っておきます。丸いシールを見るたびに、自分自身に「注意が逸れていないか?」「学んだスキルを使えているか?」と問いかけてみるというものです。

③では認知再構成法を用いて適応的な考え方を探ります。また、最後に先延ばし行動への対応も扱われます。先延ばしにしてしまう理由として、
・ 完全主義、または完璧な結果ではないことに対して否定的に評価されることへの恐れ
・ 期限が迫っていなければはじめることができない
・ 課題そのものが難しい
・ 何からはじめればいいかわからない
・ 努力を続ける必要がある課題には興味がわかない
・ 時間が十分にある時まで待とう(たいていそんな時はこない)と納得する考え
が挙げられています。これはアルアルです。

先延ばし行動は、上記のように否定的な感情を回避する手助けとなります。あいにく、これは下記のような最悪の結果を招くといいます。
・ ギリギリまで待つことで生じるストレス
・ そもそもつまらない課題が、さらにつまらなく感じる(ギリギリまで後回しにすると、締め切りが近い時には他のことができなくなる)
・ 期限や期日を過ぎてしまう危険性
・ あとから自分自身が後悔する
・ 最終的な結果が本来できるはずのものより劣る
・ 先延ばしにすることで、問題が悪化したり、解決することがさらに難しくなったりする。

日本行動療学会理事長の坂野先生監訳。原著はマサチューセッツ総合病院とハーバード医科大学の心理学者が開発した大人のADHDの認知行動療法プログラムの、本書は本人のためのワークブックです。セラピストガイドは別売りです。

感想

ADHDでない人にも役立つ内容と思います。
特にイヤなことを先延ばしして、逆にギリギリのストレスを感じたり、満足いくものができなかったりすることは誰しもが一度は経験することではないでしょうか。

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